第16話

#15
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2026/06/13 12:24 更新


バイキンレディ登場回の日の夜






ジムへ行くと既に表田さんがいたので、ひとしきり体を動かしたあと一緒に帰ることになった




ジムに申し込む時、他のジムと少し迷った


そっちの方が更衣室のロッカーが大きかったけど、結局近さには勝てなくて表田さんと同じところに申し込んだのだ











帰っている途中、違和感を感じる



誰かがついてきている気がするのだ

あなた
………誰かいますよね?
表田裏道
どうだろう……
あなた
振り返ると警戒されますよ
表田裏道
あ、それもそうか


スマホのインカメで後ろの様子を伺う







男性がひとり、物陰に隠れつつこちらの様子を見ている


動きがものすっごく怪しい

表田裏道
……なんか、見たことある気がする
あなた
私も……そんな気がしてきました


振り返り、男性の元へ向かう



男性は慌てて逃げようとしたが、すぐに捕まえることができた


アモンさんだった

アモン
いっ、いやぁ〜、2人とも奇遇だね!
今日のバイキンダーとバイキンレディ、もう最高だったよ〜!
あなた
こんな所で何してるんですか……


呆れつつ尋ねると、アモンさんは項垂れた

アモン
そう、今日のバイキンダーとバイキンレディは最高だった
だからこそ次に作る企画がこれを越えられるのか分からないんだ……
表田裏道
別に全部最高のものを作れる人はいないですよ
アモン
それではダメだ!
僕が子供たちに何かを伝える時に妥協など許されない!
だから2人の様子を観察して次なるコーナーに活かそうと思ったんだ!
あなた
はぁ……まぁ、好きにしたらいいですけど
ストーカー規制法に引っかからないようにしてくださいね


熱く語るアモンさんにふたりで冷めた目線を送りつつ、彼を解放してあげた


全く……この前の件の変質者かと思った








アモンさんは去っていき、またふたりで家路を進む

あなた
表田さん、大変ですね
毎回ああいう衣装を着ていらっしゃって
表田裏道
まぁ、そうだね
あなた
というかなぜバイキンレディ様なんですかね
表田裏道
バイキンダーに上司がいたことにまず驚いた
あなた
アモンさんがまた変な着想を得ないことを祈るばかりですよ………
表田裏道
あと、毎度毎度武器が雑なんだよ
大きさか色が違うだけのボールっていうか……
あなた
ふふっ、確かにそうですね
梅干しと酢の物の攻撃も、赤いボールだけで酢の物要素無いですし
あ、そういえばバイキンダーの演技上手でしたね
庇って出てくるところとか
表田裏道
あなたの名字さんも倒れるところよかったよ
仲間のこと考えてる感じがして
あなた
え〜っ、嬉しいです!
表田裏道
あと、兎原が踏まれるのは見ててちょっと気分が良かった


表田さんは確かに思考がたまにぶっ飛んだり、変な方向に病んだり、絵が独特すぎたり、表情が死んでたりして怖いと思われるかもしれない




だけど、こうやって褒めてくれたりするし、たまに冗談も言うし、安全を心配して一緒に帰ってくれたりしてくれるいい先輩だと思う





あとこれは余談だけど、表田さんが筋トレしてる姿を観察するようになってから趣味の漫画の絵が上手くなった気がする



…………医学書の勉強もなんとなくやる気出るし

表田裏道
………でもあの衣装、やっぱりあれだけの露出はどうかと思う
あなた
あぁ、分かります
着ててちょっと恥ずかしいっていうか
せめてあのBって書かれた文字を消してほしいです
表田裏道
いや、そういう嫌さじゃなくて
なんていうか、あなたの名字さんが着てるのをみんなが見ると思うと……
あなた
ストップ!


表田さんが話している途中だったが、私はそれを止めた



背後から誰かが走ってくる音がする


振り返ると包丁を持った男がこちらに向かっていた





だけど構えが素人丸出しだ


怖くないと言えば嘘になるが、制圧は簡単そうだった








私は犯人を迎え撃つために一歩前に出ようとする


その時、表田さんに引っ張られた

あなた
ひゃっ!?


突然のことだったので私はバランスを崩して表田さんにそのまま引き寄せられ、抱きとめられた


犯人の初撃は避けられた





犯人はまたこちらに向かってくる



守ろうとしてくれた表田さんには申し訳ないけど、私は彼の腕から抜け出して犯人に向かって行った





突進する犯人の勢いを利用して地面に引き倒し、そのまま手首を捻りあげて包丁を落とさせる

あなた
表田さん!
包丁を遠くへ!


犯人を取り押さえ、私は叫んだ




犯人は私よりだいぶ大柄で、さすがに手を離せない

表田裏道
手伝うから、警察に連絡してくれる?
あなた
あ、はい!


包丁を蹴って遠くへやった表田さんが押さえ込むのを代わってくれたので、私は慌ててポケットからスマホを出して警察に通報した




電話を切ってから数分で警察は来たが、犯人はその間もずっと「俺のこと好きなんだろ!」とか「裏切り者!」とか叫んでいた



ちなみに私は犯人の顔も名前も知らない


ずっとこっちを向いて喚いてるのが怖かった
















その後、私と表田さんも警察に話を聞かれた


そこまで長くはかからなかったが、巻き込んでしまったことで表田さんに対して申し訳なさでいっぱいになった










「もう帰って大丈夫ですよ」と言われ、ふたりで家路に着く


私はすぐに表田さんに頭を下げた

あなた
すみません、巻き込むことになってしまって
表田裏道
えっ?
いや、そんな気にしてないし……
あなた
いえ、私の危険の実感が甘かったんです
心のどこかでは、いつかこうなると信じていなかったから………
表田裏道
……でも、俺も自分で一緒に帰るって決めたし
何よりあなたの名字さんだってちゃんと警察に行ったり見つかりにくいように服装を変えたりしてちゃんと対策だってしてたから、悪くないと思うよ
第一、前提として犯人が完全に悪い


その言葉で安心したのか、目から涙が溢れてきた


迷惑になるから止めようと思っても止まってくれない




表田さんは少しの間アタフタした

そして

表田裏道
怖かった?


と尋ねた




私は泣いているまま頷いた





すると、頭の上に大きな手がポンと置かれる





その不器用な優しさが嬉しかった

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