第20話

ジミン 浮気性
36,082
2020/05/10 23:03
「……」









やっと玄関のドアが開いたかと思えば"ただいま"の一言もなしに家に入ってくるジミン









『どこ行ってたの?』









こんなこと、毎回毎回訊きたくなんかないよ









「コンビニ」









分かりやすく面倒くさそうな顔をすると、目線も合わせず適当に答える









『コンビニに行くだけなのに、なんでこんな時間に帰ってくるの?』

「本当のこと言ったところでどーすんの?」

『は…?』

「女ばっかのクラブで遊んでましたよって言ったところでなにかなんの?って言ってんだよ」









呆れる…その気持ちと同時に悲しくなった。ジミンがクラブ通いしていることは前々から知っていたことなのに、本人から冷めた口調で言われるのは物凄く悲しい

私に対しての感情がなくなったんなら、さっさと私を捨ててしまえばいいのに…

心ではそう思っていても、実際に口に出して言おうとすると無理

そこで本当にばいばいになってしまったら、私は無理なんだ。ジミンが好きだから。こんなクズ野郎でも愛してるから。クラブ通いするところは大嫌いだけど、私がジミンから離れられない

ジミンはきっといつでも私から離れられる準備はできている









『私に悪いとか…思わないの?』

「……思わねーよ」









冷蔵庫を開けてビールを取ると、喉をごくごくと鳴らしていた









「大体お前、今の今まで何も言ってこなかったじゃん。俺が他の女に貢いでること知っておきながら、無視してたろ」

『それが?』

「所詮お前は、俺から離れられない馬鹿。心の中では俺の事を心底嫌ってるみたいだけど、実際に口にしようとすると俺の口からどんな返事が返ってくるかが怖くてなんも言えねーじゃん。」

『…』

「そうだろ?」









その通りすぎて何も言えなかった









「なに……泣いてんの?」









ジミンはビールをコトンと音を立てて置くと私に近寄って顔を覗いてきた









『泣いてないよ』









ジミンの顔なんて一切見ずに寝室に閉じこもった

嫌い……ジミンのあーいうところ…全部 大嫌いだ
なんであんな罪深い男に惚れてしまったのだろうか…
彼はもう私なんかのことを好きではないと知りながらさようならをするってなると駄目なんだ









布団にくるまっていると、暗い部屋の中から白い光が差し込んだ

眩しい……と思って布団を頭より上に被る

けれどそれもバサッと音を立てて取られてしまった

ジミン…私の嫌いな人、









『なに…』









暗い影の中に隠れているジミンの顔は全く見えない









『なにもないなら、布団返して…』









ジミンの手から布団を奪おうとしたけれど頬を片手で掴まれて無理やりキスをされた









『ん…!』









ベルトを外す音…

なにこれ………嫌だ









『ジミン、…やめて』









私の服を無理にでも脱がそうとしてくるジミンの腕をぎゅっと掴む









『やめてってば……ッ!』









胸板を思い切り押すと尻もちを着いた

ダサい…ダサいよほんと……









『私のこと、玩具だとでも思ってるの?そんな簡単に操られないから…!』









脱がされてしまった体を隠すように布団を被る









「ふ…ッ」









儚く笑われた

尻もちついた体を持ち上げて再び立つと私をその目で睨んだんだ









「せっかく久しぶりに使ってやろうと思ったのに………。」

「お前、セックスがしたかったんだろ?俺と」

「だから拗ねたフリしてんだろ?」









なんでそういう捉えかたしかできないの?
そう捉えたから私と体を重ねようとしたの?
しょうがなく付き合ってるの?









『ジミンは…なにも分かってない……』

「…は?」

『私、……本当のこと言うと、ジミンに近づく女の人、全員嫌いだよ。そんな人達にベタベタくっついてるジミンも大っ嫌い』

『世の女性がコロッと落ちちゃうよな笑顔見せて、体合わせて…私をひとりにして……なにが楽しいの?なにが面白いのよ、』

『ジミンは私のなのにって…私はジミンのなのに、ってつくづく思うよ。』

『なんでジミンは、そういう風に思ってくれないの?』

『私達、なんの為に付き合ってるの?しょうがなく?好意で?なわけないよね。こんな付き合い、お互いを狂わせてるだけじゃない……』









遂に自分の口から言った

楽になった気がした。これでジミンに等々本気で嫌われたなって









『……引いたでしょ』

「……」









黙ってるっていうことはそうなんだね









『ジミンは、私のことを自分のものだなんて思ったことないでしょ?俺はお前のものじゃないって思ったでしょ…。全部知ってるよ、全部分かってるよ』

『でもね、好きなものは好きなの。』

「…………お前、俺のこと大好きじゃん」

『だから…そうだって言ってるで、ッ』









私の顎を掴んで噛み付くようなキスをしてきた

さっき嫌だって言ったのに。やめてって言ったのに










『ジミ…っ』

「嫌なら嫌だって言ってみろよ。さっきは本気でやめて欲しかったから、俺のこと投げ飛ばせたんだろ?口先だけの言葉じゃないんだったらさっきみたいに俺に手、出してみれば?」









本当に…この人には勝てない

だって私を操るのが物凄く上手いから






柔らかいジミンの口唇が、目尻や鼻を廻っていく

首を吸われて濃く痕を付けた

乱れた服を退かしてブラのホックを慣れた手つきで外すと、小さな胸に吸い付いく
その姿が愛おしくて…ずっと私のものにしたいのに

腹に数回キスを落とすとズボンに手をかける。腰を少し浮かして自分から脱がされにいっていた

パンツ越しに自分の鼻を擦り付けて匂いを嗅ぐようにしている









『…汚いから、』

「して欲しいくせに」









私をちゃんと愛してくれていない割に私のことを理解している

パンツをすらっと脱がされるとソコに顔を埋めてジミンの舌が敏感な部分に触れた









『ア…ッ、』









痙攣する足はジミンの手で固定されていて身動きが取れそうにない

小さな穴にジミンの舌先がチロチロとチラついているからムズムズするばかり









『いく、っ』









腰を揺らせば顔を外される。簡単にイかせる気はないらしい

ベルトをスムーズに外すと、ポケットからゴムを出して慣れたように付け終えた

ジミンのモノが中に入る。私の肩に顔を埋めて律動を始めた









『はぁ…っ、ぁッ』









情けない声を漏らしながらジミンの背中に手を添えた









『ジミン…すき、…』









行為中にこういうことを言うのは余り得意じゃない。けれど今日は違った









『ッおねがぃ…だから、わたしのこと…すてないで…』

『ジミンがどっかいっちゃいそうで、こわいの……』









私の上で腰を揺らすジミンは、ただただキスをしてくれるだけ

でもそれが嬉しくて、そんなところが大好きで、仕方がない

私だけがジミンのことを好んでるみたいだけれど、ジミンが私を捨てなければいい

この時間だけはそう思える



こんなんだから私は、ジミンから離れられないんだ









『もう…ジミンは…っ、ぁ……わたしのこと、すきじゃないよね…ッ』









そんなことずっと前から分かっているから

気づいていたのに気づいていないフリをしていただけだから









「ほんとよく喋るね………」









「自分だって浮気してるくせにさ」









ジミンが私の背中に手を回すと持ち上げられて、騎乗位の体勢になった

ゆるゆると腰を揺らすジミンと生温いキスを交わす









「あたかも自分だけが被害を加えてるみたいに言いやがって」









ぎゅっと抱きしめられると腰の速度を速めた










『アァッ…!じみ、っん、ぁ』

「誰が好きじゃないって言ったんだよ…………ッ」









ふたりしてベッドに倒れ込んで繋がったまま息を整えていた









「あなたが浮気やめてくれるまで、俺もやめないよ」









お互い狂ってる

ただ普通に愛し合えばいいことなのに、本物の愛を貰えない分、好きでもない他人からの愛を一滴ずつ貰って それで寂しさを全て埋めているんだ









枕に肘を着いてジミンの方にお尻を向けた

容赦なくズズっと入ってくるジミンのモノは中で上下している









『ん…ん、ぁッ…ひゃっ』









パンパンパン、と肌と肌がぶつかり合う音









「っ……はぁ、」

『もっ…、だめ…』









逃げようとする腰は捕まえられて、今まで届いたことのない部分までもジミンで埋め尽くされた









『んァッ…ジミン、…』









もう充分って以上に愛してくれて、ジミンがいつも以上に増した量の液を私のお腹に垂らしてきたときは変な満足感を得た

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