3人で歩いて学校へ向かう。
少し久しぶりやな、こうして揃って学校行くんの。
治も侑も基本的には部活の朝練あるから、ここ最近はひとりで登校してたし。
そう言って、侑がニカッと笑った。
こういうくだらん話を3人でするんが楽しい。
久々に朝から笑ったわ。
学校に到着。
私たちが通う稲荷崎高校。私たちは2年生だ。
ちなみにクラスは治と私が一緒、侑はすぐ隣りのクラス。
そして、私の毎朝の恒例行事になっている下駄箱開封の儀…
カタッ…
あーーー今日もやわーーー
私の下駄箱にぎっしり詰められたメモ用紙。
書いてある内容は大体わかる。
ため息をついてメモ用紙をクシャクシャに丸めて下駄箱横のゴミ箱に捨てた。
何事も無かったかのように装い、うちらは教室に向かった。
廊下を歩いていると宮兄弟ファンの女子生徒たちが小声でキャーキャー言ってるのが聞こえる。
そう…高校入ってから急にモテだした治と侑。
私には何がかっこえぇのかわからん。
2人とも高校生なのに幼稚だし、アホやし…
私たちは各々の教室に入っていった。
治とは同じクラスだけど、席は遠い。
私は自分の席に座り一限目の準備をした。
そして、さっき下駄箱に入っとった大量のメモ用紙から何枚か何が書かれているのか見えたけど、
「死ね!」
「何様なん?」
「宮兄弟の邪魔すんな!」
「メス豚!」
といったところか…
でも、これももう慣れた。
こういうのはシカトに限る。
治と侑のファンの子たちの仕業なのはわかっとるし。
私が2人と馴れ馴れしくしてんのが気に食わんのやろうな。
2人はニヤッと笑って体育館に走っていった。
私は帰るために下駄箱まで来た。
下駄箱開封の儀は授業終了にもやるんだが…
カタ………
案の定帰りもメモ用紙だらけ。
私は全部丸めてゴミ箱に投げ入れた。
靴を取り出し、履こうとしたその時、靴の中に何かキラッとしたものが見えた。
画鋲だった。
私は近くの掲示板にとりあえず画鋲を刺してから普通に帰宅の途に着いた。
高校入学当初から度々こういう事があった。
別になんとも思わんかった。
顔も知らん先輩に呼び出されたこともあったけど、右から左に聞き流して事なきを得た。
ただ、2年になってからこういう陰湿な事をされる頻度が高くなった。
たぶん1年が入ってきて拍車がかかったんやな。
とりあえず、治と侑には秘密にしとる。
今2人にはバレーに集中して欲しいから。
私なんかに構っとる場合じゃない。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!