「ヴェザリスの心臓部へセキュリティを回避して行くには、空を割って、“天上の門”を開けるしかない。
けれどそれができるのは、あなたの下の名前(カタカナ推奨)――君だけだ」
カイルの説明に、あなたの下の名前(カタカナ推奨)は小さく頷く。
アメジストの瞳に迷いはなかった。
「わたし、やるよ。ジークとサテラと、外に行くって決めたから」
「……あなたの下の名前(カタカナ推奨)」
ジークがそっと彼女の手を握る。その瞬間、風が優しく吹いた。
だが――その空気を切り裂くように、ノーラが再び空中に展開する。
「……ならば、力づくで止める。ヴェザリスの均衡は、絶対だ」
ノーラの背後に、黒く巨大な“空中の門”が開き、ヴェザリスのコア制御兵が次々と出現していく。
「こいつらは……機械兵!?」
サテラが剣を構える。
「もう、黙って見てるわけにはいかないでしょ!いくよ、あたしの晴天乱舞!」
剣が光を放ち、晴れ空のエネルギーを帯びて炎の波を生み出す。
「っはあああああああっ!!」
火と雷、風が交差する三人の共闘――
だがその中、カイルがノーラへ飛び込む。
「ノーラ!もうやめてくれ!」
「……あなたに、止められる義理は、ない」
ノーラがカイルに向けて雷刃を放つ――!
「くっ……!」
カイルがかわしながら空中で体勢を整える。
(……やはり、彼女を止めるには“覚悟”が必要だ)
その時、ジークが叫んだ。
「カイル、俺がやる。お前は下がれ!」
「ジーク……!?」
「アイツはヴェザリスの一部だ。お前が情を持っても、消されるだけだ!」
「だけど彼女は……っ!彼女は、俺が初めてこの島に来た時に、唯一――俺に“ありがとう”って言ってくれたんだ!」
その言葉に、ジークの胸がざわめく。
(……ありがとう、か)
――あなたの下の名前(カタカナ推奨)が、いつもくれる言葉だった。
ジークはふと、カイルの瞳の奥に自分を重ねた。
(こいつも……誰かに、必要とされたかったんだな)
それでも。
それでも――胸が、熱くて、苦しくなる。
「……それでも、あなたの下の名前(カタカナ推奨)に“お前が必要だ”なんて、言わせない」
雷が奔る。
ジークが空へ跳ね上がり、カイルに槍を向ける!
「ジーク!?なにしてるんだ!」
「一度、ぶつからせろ……お前と僕の、全部をだ!」
雷の奔流が空を割る。
――ジーク vs カイル、空中戦 開始!!
あなたの下の名前(カタカナ推奨)とサテラが見上げる空の中――
ジークとカイルが激突する!
「僕は……僕は、あなたの下の名前(カタカナ推奨)と一緒に外に出るって、決めた!」
「それは、俺も同じだ!!」
槍と機械の刃が交差するたび、空が震える。
雷と金属の衝撃音が、ヴェザリスの雲を裂いていく。
「……本当に、お前はあなたの下の名前(カタカナ推奨)のことを“想ってる”のか……?」
「……っ!」
「じゃあ、僕を越えてみろよ!!」
渾身の雷撃槍が、カイルを貫こうとしたその瞬間――
「ジークッ!!!」
あなたの下の名前(カタカナ推奨)の叫びが届いた。
風が暴走する。
感情と共鳴した天候が、強風と竜巻を生み、空中戦の中心を飲み込む!
「やばい!これは……あなたの下の名前(カタカナ推奨)の“風暴”!」
「ジーク、離れて!!」
「いや――ッ!」
ジークは、風の中を突き抜け、あなたの下の名前(カタカナ推奨)の元へ飛び込んだ。
「……大丈夫。僕が止める。お前の風も、涙も……全部」
その腕の中で、あなたの下の名前(カタカナ推奨)の風は落ち着いていく。
やがて、雲の合間から光が差し込んだ。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。