第5話

屋上
2,212
2024/07/29 03:55 更新
ないこ
いきたくないなぁ………
どうしても、屋上に行くことを渋ってしまう。
痛いのは嫌だ。けど、行かなきゃならない。
早く終わって仕舞えばいいなんて、何度願っただろうか。
俺の願いが叶ったことなんて一回もなかったけど。
構ってほしくたって、みんなりうらにつきっきり。
助けてほしくたって、見て見ぬ振りをされるだけ。
泣きたくたって、なぜか涙が出てこない。
辛くても、楽にはなれない。死ねない。
ほんと、最悪だ。
ないこ
………いかなきゃ
ーーすいませんが暴力シーン飛ばしますーー
ないこ
………あれ?
目を覚ますと、もう空が夕焼け色に染まっていた。
そっか、気絶したんだっけ。
俺の周りには、俺の血がいっぱい。
そうだ、今日はカッターを使われたんだ。
いつもなら殴られたり蹴られたりするだけだけど、
今日はなぜかカッターを使って切られた。
そのせいで、いつもより長く気絶していたらしい。
体のあちこちが痛い。傷もあるけど、床で寝てしまったから。
隠し持っておいた包帯と痛み止めを使って手当てする。
どうせ後で外しちゃうけど、止血しないと制服が汚れてしまうから。
ないこ
い〝っ、ぅ………
疲れた。心の底から。
寒い。
痛い。
辛い。
くるしい。
きもちわるい
こわい
かなしい
かなしい
かなしい?
ないこ
…………………?
まぁいいや、とりあえず帰ろう。
あの地獄へと。
ないこ
……ただいまかえりました
悠佑
…‥遅かったやん。何しとったん、今まで
家に帰ったら、あにきに話しかけられた。
どうやら料理をしていたらしい。
俺の部屋へ行くにはリビングにある階段を通らなきゃいけないから、たまにこうして話しかけられることもある。
大体、「冷えピタ持ってきて」とかそう言うのばっかだけど。
ないこ
…‥ちょっと…‥友達と遊んでた
悠佑
こんな時間まで?とっくに学校終わっとるやん
ないこ
……ごめんなさい……
悠佑
はぁ……ちゃんと早く帰ってこんと人が足らんねん。次からは気をつけろや
ないこ
はい
気をつける?どうすればいいの?
俺が気をつけたってなんにもならないじゃん。
俺がいじめられてることも知らないくせに、そんな軽々しく言わないでよ。
ないこ
はああぁぁ……
疲れた。けど、これからバイトに行かなきゃいけない。
俺には、学費が払われていないし、ご飯も作ってくれない。制服も私服も、全部自分が払う。
自分で稼ぐしかない。
6人もいるし、仕方ないことだけど、やっぱり辛いものは辛い。
楽に稼げたらいいのに…‥と思うけど、コツコツやるしかないよね。
ないこ
そういえば、靴下破れたんだった……
後で買っておかないと。

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