今は撮影の合間休憩の時間。
つまり絶好の作戦実行チャンスだ。
俺は今日、昨日考えた3つの作戦を決行する。
───まず1つ目。
1つ目、
優太にひたすらひっつく。
これは結構ドキドキすんじゃないの?
現に今、俺は自分から引っ付いておきながらめちゃめちゃドキドキしてる。
···············いや、ダメだろ俺がドキドキしたら。
これじゃ本末転倒。頑張れ、俺。
編集中も優太といれる。そう思って嬉しくなりながらも、そのまま優太と一緒に編集部屋へと向かった。
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俺は今優太に、後ろからバックハグをする様な形で引っ付いていた。椅子の上からではあるけれど。
そりゃあ最初は横で大人しく見てたよ?
だけど、よく考えたら横じゃ引っ付けない、ということに気づいたからしばらくして後ろに回った。
頭を肩に乗せているので優太の顔はすぐ隣。
··········やばい、俺がドキドキしちゃう。
なんとか耐えろ…………。って、
ちょっとまって?
·····いや、優太全然ドキドキしてなくない?
さっき引っ付いた時とかも全然普通だったし。顔こんなに近くにあるのに普通だし。
····なんなら今だって、若干優太迷惑がってるよね?!
···································いや、まだそうとは限らないか。
出来るだけポジティブに。
···············じゃあもう少し引っ付いとこ。
嫌じゃないの一言で嬉しくなるくらいに俺は単純なんだ、結局。
その一言を受けて、嬉しくて調子に乗ってずっと後ろから引っ付いてると。
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──優太に拒否されちゃった……。
これは完全に、調子乗りすぎたバツかな。笑
確かに仕事中引っ付きすぎるのは良くなかったし俺が悪いけど、ストレートにどっか行っててって言われてダメージを受けている。ほんと単純だな。笑
·····どっちにしても、これ以上はほんとに迷惑かけちゃうなと判断して、大人しく部屋へ戻った。
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1つ目の作戦はあんまり上手く行かなかったな。
今、他のメンバーはリビングに集まっている。
··········だからもうこのまま作戦2つ目だ。やってしまおう。
半ば投げやりになりつつあるが、考えてきた3つの作戦は全て実行したい。
そう言って俺は、彪雅の方へ倒れ込む形で引っ付いた。
その後もしばらく彪雅に引っ付いた。彪雅はもう考えを放棄したらしく、何も言ってこなくなった。
しばらくしてあっちゃんの方に向かって、彪雅同様後ろから思い切り抱きついた。
その他メンバーだけでなく、裏方の皆にも同じように。
ずっと色んな人に引っ付きすぎて眠くなってきた。
人の背中って結構安心するんだなぁ。
そう思いながらも変わらずあっちゃんに引っ付いていると。
優太がリビングにきた。もしかして、編集終わったのかな!?
·····そう思ったんだけど、
───なんだ。まだ終わってないか。
頑張ってるなぁ、早く終わらないかなぁ。そう思いながらも編集部屋に戻ろうとしている優太を眺めていると……
優太と目が合った。
··········なんか怒ってる?
あ、さっき迷惑かけちゃったこと怒ってんのかな。
だとしたらちゃんと謝らないと。眠い頭で考えながらもちゃんと気持ちが伝わるよう口にした。
そう言って顔を逸らし、優太と悠馬は編集部屋へと戻って行った。
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そう言って、さっきと同様後ろから彪雅に抱きついて肩を乗せる形になって、そのまま目を閉じた。
最後の彪雅が何かを言っていたのは上手く聞き取れなかった。
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目を開けると優太が居た。俺は、起きた時は寝る前と変わらずに彪雅に抱きついてる形だったけど、優太に引き剥がされてそのまま起こされた。
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眠い目をこすりながらも時計を確認した。
現在の時刻は17:30。ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ
寝たのは大体14時とかだったから、3時間半くらい寝てたかな。結構寝れた。忙しい俺達にとってこの睡眠はでかい。
まだ寝ぼけてる状態でありながら、優太の顔を眺めてみる。
··········普通に3時間前とかなのに、久しぶりに見た気がする、優太を。
少し会えなかっただけでこんな寂しくなって、顔を見るだけで嬉しくなる。
─────もしかして、これはチャンス?
大分急だが、今丁度優太との距離が近い。
もしかしたら、優太にキスできるのでは·····?
幸いなことに、俺はまだ多少寝ぼけてるだろうし、このまま行けば恥ずかしがらずに出来るかもしれない。
これは俺にとっても都合が良い事だ。なんならここしか行けない気もする。
··········よし。
そう思って、目線より上にいる優太の服を掴んで顔を近づけた。
状況をよく理解出来ていないであろう、目を丸くしてる優太に、そのままの勢いで口付けた。
──そしてそのまま数秒。
満足したところで、ゆっくりと口を離した。
はぁぁ、、。
····················結局、寝ぼけててもダメだった。
ドキドキが凄い。流石にキスは平然装えないわ。緊張しすぎて。
··········そして、そんな優太はというと……びっくりしている様子ではあるけれど、ご察しの通りドキドキしてる感じでは無い。
··········やっぱ、ドキドキしてくれないかぁ。
いつも優太だけが余裕を持っている。なんでだ?
俺じゃあ優太をドキドキさせられないのかなぁ…。
──やべ。
つい本音が口に出てしまった。
優太は悪くないのに、ずるいだなんて。
こんな面倒臭い奴なんて、嫌われちゃうかな。
考えただけで悲しくなって、若干泣きそうになっていると。
急に優太に腕を掴まれ、リビングを出てほかの部屋へと連れていかれる。
一切状況が掴めない。程々に、とは?
───········どういうことだ……?
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!