何だか周りが浮ついていると言うか、ざわついている。そりゃ、何処に行っても、お手洗い以外についてきたジウン君のせいだ。理由が明白すぎて笑ってしまう。
授業を終えて、部室へと向かう。まじでどこでも、今日はついてこられた。また言い訳地獄かと思ったが、そんなことはなかった。もう、あとは、部活だけだからいいんだけどさ。意外としぶとく、巻きが残った髪。オイルとかが良かったのかな。
部活が始まるまでの時間、いつもの位置に座った。さも当然かのように、ジウン君も隣に座った。
あの最高傑作は、私の手ではどうにもならない。私は素直に彼に背を向けた。ジウン君がそっと髪留めを外した。優しく扱われているのが分かる。こういうところ、親子なんだなって思う。口に出したら、先輩たちがうるさいから、口はチャックだ。
そんなことをしていると、一人、また一人と部員が集まって来た。一年生は、思った以上に残るようだった。もしくは様子見か。部活開始の時間、ソアちゃんも部室に入って来た。先輩たちはそれを確認して、まず発声練習をしようと、皆で外に出た。結び直してもらった髪も好調だ。
オーディションは滞りなく進んだ。彼女が先攻、私が後攻。お互い、演技に影響が出ないように、互いが終わるまで、廊下で待機。二人が終われば、また廊下で待機だ。部室の音が聞こえないように、私たちは離れたところで待った。会話は起きなかった。今更、何も話せないという気持ちも、ある。
ジウン君の呼び声で、部室に戻った。あの日と同じように、二人で、皆の前に並ぶ。私は目を閉じ、顔を伏せた。
先生や、先輩、部員たちが見守る中、ジウン君の言葉を待った
私ははっと顔を上げた。目の前に立っていたジウン君と目が合った。笑いもせず、泣きもせず。彼はそこに立っていた
私はにやりと笑った。ああ、天は私に微笑んだ!
ジウン君と派手にハイタッチをした。勢いが強すぎて、いい音の代償に、痛みが襲った。いったーいと叫びつつ、他の出演者ともハイタッチを繰り返す。
彼女ともハイタッチを交わした。手のひらがひりひりした。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!