第18話

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2024/09/09 08:47 更新
 何だか周りが浮ついていると言うか、ざわついている。そりゃ、何処に行っても、お手洗い以外についてきたジウン君のせいだ。理由が明白すぎて笑ってしまう。
あなた
今日、何時にもまして変だよ?
ジウン
いつも変みたいに言うなよ
あなた
間違いじゃないと思うんだけど
 授業を終えて、部室へと向かう。まじでどこでも、今日はついてこられた。また言い訳地獄かと思ったが、そんなことはなかった。もう、あとは、部活だけだからいいんだけどさ。意外としぶとく、巻きが残った髪。オイルとかが良かったのかな。
あなた
おはようございまーす
先輩
おはよー
先輩
噂通り!あなたちゃん、可愛いー
あなた
はいはい
先輩
ジウン、そんな睨むなってー
ジウン
睨んでません
 部活が始まるまでの時間、いつもの位置に座った。さも当然かのように、ジウン君も隣に座った。
ジウン
あなた、ちょっと後ろ向け
あなた
え?なに
ジウン
ちょっと崩れてる。結び直してやるから
あなた
まじ?頼むー
 あの最高傑作は、私の手ではどうにもならない。私は素直に彼に背を向けた。ジウン君がそっと髪留めを外した。優しく扱われているのが分かる。こういうところ、親子なんだなって思う。口に出したら、先輩たちがうるさいから、口はチャックだ。

 そんなことをしていると、一人、また一人と部員が集まって来た。一年生は、思った以上に残るようだった。もしくは様子見か。部活開始の時間、ソアちゃんも部室に入って来た。先輩たちはそれを確認して、まず発声練習をしようと、皆で外に出た。結び直してもらった髪も好調だ。
先輩
さ、オーディション、やり直すぞ
先輩
新しい脚本でやるよー
先輩
どのシーンやる?
あなた
特に大きな変更はかかってないんですけど……あ、ラストシーン、ちょっと台詞を書き換えたので、そこはやりたいです。あとは……こことか?
先輩
じゃあ、ここも含めて、合計三か所やるか
先輩
順番はくじね
部員
シェイカーじゃないんですから
部員
また壊さないでくださいね
 オーディションは滞りなく進んだ。彼女が先攻、私が後攻。お互い、演技に影響が出ないように、互いが終わるまで、廊下で待機。二人が終われば、また廊下で待機だ。部室の音が聞こえないように、私たちは離れたところで待った。会話は起きなかった。今更、何も話せないという気持ちも、ある。
ジウン
終わったぞ
あなた
はーい
ソア
……うん
 ジウン君の呼び声で、部室に戻った。あの日と同じように、二人で、皆の前に並ぶ。私は目を閉じ、顔を伏せた。
ジウン
俺から、ヒロイン役を発表する
 先生や、先輩、部員たちが見守る中、ジウン君の言葉を待った
ジウン
厳正なる投票の結果
ジウン
改めて、ヒロイン役に選ばれたのは
ジウン
あなただ
 私ははっと顔を上げた。目の前に立っていたジウン君と目が合った。笑いもせず、泣きもせず。彼はそこに立っていた
ジウン
あなた
ジウン
俺の、ヒロインに
ジウン
なってくれるか
 私はにやりと笑った。ああ、天は私に微笑んだ!
あなた
勿論
あなた
獲るぜぇ、金賞!
あなた
私たちの演技と、私の脚本、演出で!
 ジウン君と派手にハイタッチをした。勢いが強すぎて、いい音の代償に、痛みが襲った。いったーいと叫びつつ、他の出演者ともハイタッチを繰り返す。
あなた
ソアちゃん!
あなた
獲るよね?金賞
ソア
っうん、獲ろう!
 彼女ともハイタッチを交わした。手のひらがひりひりした。
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