目を覚ますと、そこに父親と母親の姿はなく、泣いている弟がいた。
弟「お、お姉ちゃん…ポロポロ」
弟「お父さんとお母さんが……っ」
弟が泣きながら指さした場所…自分の後ろを見ると、そこには
血塗れの父親と母親がいた。
知らないうちに涙が溢れ出す。
弟「僕が起きたらもう…っ
きっと守ってくれたんだ…お父さんも、お母さんも…ポロポロ」
ガラガラ…
気付かれないよう静かに歩き、確認する。
扉を開けたのは、鬼だった。
誰かの幸せを壊していると思うと、怒りが込み上げてくる。
持ってきておいた斧を握りしめる。
不安を追い払って、鬼に集中する。
つんとした匂いがする、母親の部屋からだ。
何となく嫌な予感がして、早足で部屋へと向かった。
母親の部屋にはべっとりと血がついており、肉塊を口の中に詰め込んでいる、姉と妹がいた。
するとその二人が襲いかかってきた。
が、直前で姉と妹の首がごろりと落ちた。
状況を理解するのに、少しの時間を要した。
みるみる顔が青ざめていく。
?「こっちにもいたなんて…君は大丈夫?怪我は…してないね、良かった…」
?「ッ……ごめんね」
目の前に、何かがいた。
咄嗟に逃げ出した。どうやら妹は気付かれていないようだ。
父親の部屋を覗いたが、そこには信じがたい光景が広がっていた。
ガタッ、ギィ…
早くしないとあいつが来る。
仇を取るために。妹を守るために。
斧を握りしめ、決意を固めた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。