「性格がより濃くなる薬」「行動が今までと真逆になる薬」
相変わらずキレッキレの『毒舌のグレイス』に抗議するエンドだが、今日はすぐに機嫌が回復する。
イデオの狂気がマックスになるって事か、と察したエイミーは、素早くリックの後ろに隠れる。
ここで、今まで黙っていたアスランが深刻そうな表情で口を開いた。
何か事情があって実験を受けられない(言い訳)のか、と心配になるエイミーだが、
有無を言わさずアスランにVRゴーグルをかぶせ、エイミーたちにも次々と渡していく。
逆らっても押し切られて無駄だと知っている彼らは、大きなため息を吐きながらもゴーグルを装着した。
仮想空間上だが、もはや見慣れた実験室。
そこでイデオに渡されたのは、仮想空間で実験をするたびに飲ませられる例の薬だ。要するにVRへの没入感を高める物だが、
飲み屋から聞こえてきそうなコールをするイデオ。
赤い液体を一気に呷り、グレイスは小さくため息を吐く。
懐からHClO₄と書かれたラベルの貼られた瓶を取り出し、エンドを壁際へ追い詰めようとするグレイス。
『最悪の殺人鬼』vs『美毒のグレイス』の追いかけっこが始まった。
首を捻るイデオ。
が、味が最悪と文句を垂れ流すエイミーが、いきなりスンッと黙った。
『過ぎたるは及ばざるが如し』の意味は「やり過ぎと足らな過ぎは同じくらい良くない」である。
エイミーが言ったような「過ぎた事は仕方ない」という意味ではない。
イデオが指をパチンと鳴らすと、大きいサラダボウルに新鮮な野菜と香草がたっぷり盛られたサラダが現れる。
リックは躊躇なく赤い液体を呷り、効果が現れるのをしばらく待った。
思い通りに効果が出ているのが嬉しいのか、イデオは鼻歌を歌いながら研究成果をまとめ始める。
青い薬を渡され、アスランは顔を顰めながら一気に飲み干した。案の定最悪な味だったようで、口を両手で塞ぎながらもがき苦しんでいる。
しばらくすると、
相変わらずHClO₄を振りかざしながらエンドを追いかけるグレイス。
薬の効果で彼女を止めよう(?)と張り切るアスランも加わり、場は更に物騒な事になった。
何せ行動が逆転しているので、一番の平和主義者が武力行使を厭わなくなっている。
釘バットを笑顔でアスランに手渡したグレイス、冷ややかな目で見ながらサラダを要求するエイミー、悪態と拷問方法がレベルアップしたリック。
普段の彼らもよく知っているイデオにとって、これはあまりに面白すぎた。
諸悪の根源がゲラゲラ笑い転げるのを見て、珍しくエンドに殺意が芽生える。
若干名残惜しそうなイデオが指を鳴らすと、一瞬だけ視界がブラックアウトする。
二人がキャンキャン言い合う横で、美味しい焼肉屋を検索するグレイス。
近くに店があったようで、エンドの奢りで沢山食べなさい、と流れるように会計を押し付ける。
すぐさま男性陣が出かける支度を始める。
一方でグレイスとアスランは、むしろ留守番の姿勢をキープしている。焼肉と聞いて若干胸焼けしたらしい。
たらふく食べる気満々のエイミー少年と、その保護者たちを見送る女性陣。
女性陣も楽しそうに笑いながら、グレイスの部屋でお茶会を開いた。
恋バナとまでは行かないが、念のために通信妨害装置を発動し、男には出来ない話をたっぷり楽しんだ……らしい。
その後、通信妨害装置を発動したワケを問われた二人は、












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。