第14話

侑と恋バナ①
3,763
2020/12/29 15:50






『あ、来た来た』








お昼休み

あいかに申し訳ないと謝ってから

侑のいる屋上へと向かった









屋上へ着くと

侑は既にあぐらをかいて座っていた










『二組授業終わるの早いね』






『四時間目化学やったから早く終わった』






『そういうことね!化学の先生授業終わるの早いもんね』













侑は購買で買ったパンの袋

私はお弁当箱




それぞれ開いてお互い口に運んだ











『たまにはこういうのも悪くないわ』





『ふふ、せやね』










パンを片手に空を見上げる侑が少し微笑ましい










『てかあなたは好きな人とかおらんの?』





『どしたん、いきなり』










卵焼きに手を付けようとした時




侑が唐突にそう聞いてくるから

思わず手が止まった










『いたらこんな事やっとらんわ』





『まぁそっか』










確かにそうかと言いながら

侑はもう一つのパンの袋を開いた















『逆にあなたはおるの?』





『さっきの言葉そっくりそのまま返すわ』












聞いた私はだいぶ頭が悪いが



まぁそうだよね









好きな人がいたら


普通あんな思考にならないし















『侑ってさ彼女いたことあるの?』






『まぁ中学の頃に一度だけおったなぁ、好きやなかったけど作ってみたくて付き合ったわ』






『一人だけなん?』






『おん、やっぱめんどくさくてな?部活優先したいねん』






『へぇ、そんだけバレー好きなんやな』






『おん、そもそも好きな人とかいたことないんやで』












さすがに好きな人ぐらいいたやろ?




侑の強がりかな?









って思って侑の顔を見たけど








淡々と話しているから





多分本当のことなのであろう















『あなたは?彼氏おったことある?』








『うんー、それなりに好きやったなぁ』







『へぇ、そうなんや』













でもそんな侑もいずれ恋をするんやろうな




どんな子なんやろう










きっと可愛ええな




いや、意外と普通やったりして?
















でも好きな人ができたら





きっとこんなこと出来んのやろうなぁ













隣に座る侑を見ながら



ふとそう思った













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