第6話

6話
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2025/09/18 07:52 更新
抜け出しちゃおっかな。
どうせバレない、バレたって死ねば問題ない。

窓に映るは憎らしいけれど美しい空。

晴れの空は嫌いだ
自分だけ、置いていかれたような気持ちになるから。




フルーレ
あっ
あなた





想像はしてましたとも。


わたしがこの人殴ろうとしたもん。


それで何故か失敗してるらしいんだもん。


彼が病院送りにしてきたというのは最も考えやすい道。



彼は恐る恐る近づいてきた。
あなた
お人好しだね

彼がなにかを言おうとする前にわざと突き放した。

本心だ。
あなた
殴ろうとしてきた相手を病院に送ってあげるとか、
あなた
そのうちほんとに殺されそう


苦笑が漏れる。


彼の顔は少し引きつった。


フルーレ
…そ、そうかもですけど…、あんな状態の人を放ってはおけません!
「優しいんだね」

言おうとして喉で詰まった。

わたしには似合わない言葉だったな。

うん。

やめよ。
あなた
…殴ろうとしてごめん
こんな人間性でも罪悪感ぐらいはまともに感じる。

自傷は気持ちよくても他害はただの迷惑だ。
フルーレ
い、いや…大丈夫です…







ラト
おや、フルーレ。
ここにいたんですね



ドアを開ける音も立てずに元からそこにいたような顔で口を開いた、髪の長い男子。
あなた
(え待って誰…)
フルーレ
ラト!
あなた
(…だれ……)
友達の友達でも気まずいのに、知り合いでもない人の友達?は余計気まずい。

自然と下を向いて男子2人が話し合うのを待つ。

どうせ話すことは無い。

ラト
豚さん
あなた
(…ん?)
あなた
(………)
ラト
聞いてますか?
明らかに近寄ってくる赤の他人。

めちゃめちゃ他人。

あなた
え、わたし?
ラト
はい
彼はにっこりと笑った。

えぇ…、やっぱりこういう人は一定数いるんだ。

フルーレ
ちょっと!やめてよね!
ラト
おや…
フルーレ
俺ミヤジ先生呼んでくるから!
ラト、絶対にダメだからね!
ラト
はぁ…フルーレが言うなら仕方ないですね…


フルーレ…さん、?

が言うだけで三つ編みの彼は拗ねたように落ち着いた。

なんて抑止力…。



そしてフルーレさんは病室から急いで出ていった。

急いでいるのはわかるのに、走らないのが彼の真面目さをよく表している。










ラト
正直、あなたのことは許せないので、今すぐにでも壊したいのです
わたしの首に彼の両手が伸びてくる。
ラト
フルーレには言われてしまいましたが、貴女はフルーレを壊そうとしたのだから…、
ラト
貴女を壊したっていいですよね?
あなた
あなた
…どうぞ
ラト


「そうですか」

その合図でわたしの首を包んだ手に力が入る。


あなた
ゲホッ…
強く、強く締まる。

指の長い大きな手がわたしの首を蹂躙する。

自分で首を締めたときと、全然感覚が違う。

容赦がない。

顔が熱くなっていく。

血が巡っていないのかも。
あなた
ぐ…っ
うめき声しかでない。

わたしは首を絞めるその手に自分の手を添えた。

力を入れると抵抗してるみたいになるから、あくまで添えるだけ。

こんな終わり方が1番手っ取り早かったなんて…。

焦点が合わなくなっていく世界を察した。










フルーレ
なにやってんだよラト!!
ミヤジ
ラトくん!!


あなた
間に割って入ってきたフルーレさんのせいでわたしは大きく咳き込む。
あなた
ゴホッ...ゔ...ゲホッゴホッゴホッ...


空気が吸えなかった反動で肺にたくさんの酸素が流れ込む。
ラト
この豚さんが良いと言ったので…
フルーレ
そういうことじゃないだろ!

さっきまでの闇深い目に明らかに光が宿るのを感じた。

しかし怒られて声は先程よりも沈んでいる。

態度がわかりやすいな…。

異音が鳴っている喉を抑えながら彼らを横目に見た。

というか『豚さん』呼びを否定して欲しかったかも。

ミヤジ
大丈夫かい…?
君は…えぇと…
見慣れた白い服を着た大柄な人。

医者…か。

医者には似合わず表情カオは穏やかだ。
あなた
あなた、です。
あと大丈夫です。全然、はい。

ミヤジ
そうか、あなたく…
ミヤジ
いや、あなたちゃんか
あなた
(あなたくんって言おうとしてた… )
訂正してくれたのは一応女の子だから、ってことなのかな。



ミヤジ
色々聞きたいのだけれど…いいかな?
ラト
ミヤジ先生、フルーレを壊そうとした豚さんに情けなんていりませんよ
フルーレ
ラトは黙ってて!
ラトさんはフルーレさんに引きずられてずるずると病室を出ていった。

…すごく睨まれた。

















ミヤジ
えーっと…まずは、あなたちゃん
あなた
…はい
気まずい。

気まずい気まずい気まずい。

誰かこの状況を笑い飛ばして。

ミヤジ
薬は何錠飲んだのかな?


覚えて、いない。

100錠は飲んだ。

でもきっとそれ以上飲んでいるはず。

瓶が何個も空いたんだ。
あなた
覚えてないです…

ため息にまざる「そうか…」をわたしは聞き逃さなかった。

ミヤジ
ご家族は?
あなた
父が、…います
ミヤジ
連絡はできるかな?
あなた
いえ…あの…、仕事、なので…
してくれてたらよかったけど。

仕事。

青春の代名詞とも言われる高校生のバイト代を貪り食って惰性で生きてるなんて。

吐き気がする。


ミヤジ
…しばらくは安静にした方がいい。
あなた
…はい。
繋がれた点滴を見た。

健康になるなんてクソ喰らえ。

当たり障りのない笑顔でやり過ごした。

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