抜け出しちゃおっかな。
どうせバレない、バレたって死ねば問題ない。
窓に映るは憎らしいけれど美しい空。
晴れの空は嫌いだ
自分だけ、置いていかれたような気持ちになるから。
想像はしてましたとも。
わたしがこの人殴ろうとしたもん。
それで何故か失敗してるらしいんだもん。
彼が病院送りにしてきたというのは最も考えやすい道。
彼は恐る恐る近づいてきた。
彼がなにかを言おうとする前にわざと突き放した。
本心だ。
苦笑が漏れる。
彼の顔は少し引きつった。
「優しいんだね」
言おうとして喉で詰まった。
わたしには似合わない言葉だったな。
うん。
やめよ。
こんな人間性でも罪悪感ぐらいはまともに感じる。
自傷は気持ちよくても他害はただの迷惑だ。
ドアを開ける音も立てずに元からそこにいたような顔で口を開いた、髪の長い男子。
友達の友達でも気まずいのに、知り合いでもない人の友達?は余計気まずい。
自然と下を向いて男子2人が話し合うのを待つ。
どうせ話すことは無い。
明らかに近寄ってくる赤の他人。
めちゃめちゃ他人。
彼はにっこりと笑った。
えぇ…、やっぱりこういう人は一定数いるんだ。
フルーレ…さん、?
が言うだけで三つ編みの彼は拗ねたように落ち着いた。
なんて抑止力…。
そしてフルーレさんは病室から急いで出ていった。
急いでいるのはわかるのに、走らないのが彼の真面目さをよく表している。
わたしの首に彼の両手が伸びてくる。
「そうですか」
その合図でわたしの首を包んだ手に力が入る。
強く、強く締まる。
指の長い大きな手がわたしの首を蹂躙する。
自分で首を締めたときと、全然感覚が違う。
容赦がない。
顔が熱くなっていく。
血が巡っていないのかも。
うめき声しかでない。
わたしは首を絞めるその手に自分の手を添えた。
力を入れると抵抗してるみたいになるから、あくまで添えるだけ。
こんな終わり方が1番手っ取り早かったなんて…。
焦点が合わなくなっていく世界を察した。
間に割って入ってきたフルーレさんのせいでわたしは大きく咳き込む。
空気が吸えなかった反動で肺にたくさんの酸素が流れ込む。
さっきまでの闇深い目に明らかに光が宿るのを感じた。
しかし怒られて声は先程よりも沈んでいる。
態度がわかりやすいな…。
異音が鳴っている喉を抑えながら彼らを横目に見た。
というか『豚さん』呼びを否定して欲しかったかも。
見慣れた白い服を着た大柄な人。
医者…か。
医者には似合わず表情は穏やかだ。
訂正してくれたのは一応女の子だから、ってことなのかな。
ラトさんはフルーレさんに引きずられてずるずると病室を出ていった。
…すごく睨まれた。
気まずい。
気まずい気まずい気まずい。
誰かこの状況を笑い飛ばして。
覚えて、いない。
100錠は飲んだ。
でもきっとそれ以上飲んでいるはず。
瓶が何個も空いたんだ。
ため息にまざる「そうか…」をわたしは聞き逃さなかった。
してくれてたらよかったけど。
仕事。
青春の代名詞とも言われる高校生のバイト代を貪り食って惰性で生きてるなんて。
吐き気がする。
繋がれた点滴を見た。
健康になるなんてクソ喰らえ。
当たり障りのない笑顔でやり過ごした。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。