第15話

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2026/09/04 06:11 更新










take side









宿屋で、俺達は話した。

彼のこと、そして、春希のことを。

tsubasa
…俺達は、何なんだ


ツバサが呟く。

お互い全く面識はない。

なのに、一緒にいればいるほど懐かしくなる。

take
…何かをきっと、忘れてる


俺はツバサと話しながら、832へ手紙を書いた。

春希と出会ったことを告げた。

そして悩んで、今、分かっていることも書いた。

手紙は数枚にも及んだ。

take
彼は、何が目的なんだろう


風に飛ばされる手紙を見ながら言う。

俺達に想いを伝え、俺達を巡り合わせ、探させて。

それが全て彼の思惑通りなのだとしたら、一体彼は何を求めているのだろう。

tsubasa
思い出して欲しいとか
take
…ある、かもね


窓から強い風が吹き込む。

また、歌う。




『____魂の唄響く 狂詩曲』




take
………、
tsubasa
…なんて、?


手帳に書き留める歌詞を、ツバサは覗き込んだ。

静かに息を吐き、寝転ぶ。

tsubasa
まじで、わっかんねーな…
take
俺だって分かんないよ


分からないから、だから旅をする。

take
明日も早くに出るよ
tsubasa
ん、りょーかい


わざわざ寝転んだ身体を起こして、ツバサは目を閉じた。

こんな所でも横になれないとは。

take
…おやすみ、ツバサ
tsubasa
おやすみー、


布団を被り、ツバサに背を向ける。

微かに聞こえるツバサの溜息が、俺の眠りに落ちるまでの時間を引き伸ばさせた。









俺達は翌朝、誰にも出会わず街を出た。

目的はあろうと宛のない旅だ。

ただ、前来た方と逆に足を進める。

春希と出会った教会を通り過ぎ、俺達はまた森を歩いていた。

tsubasa
ていく、この先の街は気をつけたほうが良いかも
take
気をつける?なんで?
tsubasa
歓迎してくれないよ、全くもって


このご時世に旅人を歓迎しない街など珍しい。

けれど、地域に根付いたなにかがあるのだろう。

take
殺されはしないでしょ?
tsubasa
それはさすがに…、
take
じゃあ良いよ、行こう


ツバサは渋い顔をした。

それでも街を回るぐらいしか、今の俺達にできる旅はない。


重い足を動かし、俺達は何日もかけて山を超えた。









ツバサの言う通りで、良い気はしない街に着いた。

なにか直接言われる訳ではなく、ただあからさまに避けられ、目を逸らされ、ため息を吐かれる。

take
…俺達の何がいけないんだろう
tsubasa
旅人ってだけで見境なくだろうな
take
ツバサは前も来たの?ここ
tsubasa
一瞬通って、嫌そうだったからすぐ出た


ここで宿屋を取るのは難しいだろうか。

ダメ元で声を掛けてみる。

take
すみません、旅の者ですが
市民
…………、


何も言わない、あからさまに嫌そうな顔をするが、それでも立ち止まってくれた。

take
この街に、宿屋はありますか?
市民
……行けば分かる


道を指差し、そう告げる。

俺は素直に頭を下げた。

take
ありがとうございます、


ツバサも頭を下げてから着いてきた。

大きな溜息が聞こえたが、気にしていられない。

tsubasa
…すげぇな、勇気ある
take
泊まれるなら泊まりたいし
tsubasa
それはそうだな


着いた宿屋は、俺達以外の客がいなかった。

同じように嫌な顔をされるが、一応部屋は取る。


俺達はまた部屋を出、教会へ向かった。

tsubasa
ここにも、来てたのか


中央の長机に、あの手紙がある。

今回は開いた。


『あなたはいつも、歌を歌っているのだ』

take
…分かるよ、


春希の想いが伝わる。

彼はいつも、いつも歌っている。

tsubasa
…なんで、歌なんだろうな


彼の歌声は美しい。

涙が出るほどに。

俺は、彼を忘れてしまっているのだろうか。

take
…この街は狭いね
tsubasa
すぐ出るか?
take
うん、彼らにも悪いし


それきり、手紙を置いて宿屋へ戻った。

春希は一体今まで、どれくらい旅をしてきたのだろう。








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