第5話

委員会
266
2024/07/12 10:08






放課後の図書室。
私は図書委員で、今日は委員会議の日だった。
暁 (なまえ)
暁 あなた
ついでに本返そう…
借りていた本を返そうとカウンターに向かうと
既に先客がいた。
大地
あれ?この前仁の席に座ってた子だ
暁 (なまえ)
暁 あなた
ファッ
なんでここに……と思ったが、天命さんは
図書委員だった。
ここにいるのは当たり前か…。
大地
本返すの?俺がハンコ押してあげるよ
返事をする前に天命さんは貸し出しカードに
ハンコを押した。
大地
はい
暁 (なまえ)
暁 あなた
あ、りがとう…ございます
大地
ふぅん…暁あなたちゃんか…
貸し出しカードに書いてある名前を読み上げられて
ビクリと肩が反応した。
今まで付き合ってきた男は全員クズ男で
天命さん司波さんの様な男性と話すのは緊張する…。
大地
あなたちゃんって呼んでいい?
暁 (なまえ)
暁 あなた
え…あ、はい
天命さんと少しだけ距離が近くなって
司波さんとも近くなったらな…と思った。
大地
ねえ、あなたちゃんって仁のこと好き?
暁 (なまえ)
暁 あなた
ピィッ
突然の質問に上手く応答できず
わかりやすい反応をしてしまう。
大地
友達の意味で聞いたんだけど…
恋愛的に好きなんだ
にやにやと笑う天命さん。
う…これ絶対墓穴掘った…
この墓穴に埋まりたい。
大地
大丈夫、俺は応援するよ
暁 (なまえ)
暁 あなた
……ぁ
嬉しい………が、恋愛はもうしたくない。
司波さんがクズ男だとは全く思っていない。
けれど、誰かと交際は……もう………
大地
……大丈夫?
私が俯いていたのが体調不良だと思ったのか
天命さんは優しい口調で心配してくれた。
杖道
悪い、遅くなった
委員会議始めるぞ
図書委員担当の枯柳先生が図書室に入ってきて
私たちはクラスごとに席についた。
会議で学年図書委員代表を決めた。
ちなみに天命さんが代表になりました。
今はポスター制作をしている。
大地
ねえ、仁の席に座って何してたの?
暁 (なまえ)
暁 あなた
……司波さんを感じていました
大地
仁を感じる…?
嘘はついていない。
ふんわりと司波さんの香りに包まれて夢心地だった。
暁 (なまえ)
暁 あなた
…でも、司波さんに
嫌われちゃいましたよね
大地
え?
再確認するように天命さんに言うと、意外な反応が
返ってきた。
大地
いや?仁怒ってなかったよ?
暁 (なまえ)
暁 あなた
…え?
でも明らかに声色怒ってたし…
大地
それに……寧ろ…
暁 (なまえ)
暁 あなた
む、寧ろ…?
ごくり、と唾を飲む。
大地
……いや、やっぱり内緒
暁 (なまえ)
暁 あなた
え、
期待させておいてなんやねーんと心の中で
ツッコんでおく。
大地
そんなことより敬語やめてよ
同い年でしょ?
暁 (なまえ)
暁 あなた
あ……は、い…
突然の申し出に思わず返事をすると
「「はい」じゃなくて「うん」ね」と言われた。
大地
天命さんもやめて欲しいな
暁 (なまえ)
暁 あなた
え゛っ……
ちょっとそれ以上はキャパオーバーかも……
大地
大地って呼んでよ
暁 (なまえ)
暁 あなた
だ……だ、いち……さん
大地
…まあ今はそれで許してあげるよ
これは仁を呼び捨てにするには
かなり時間が掛かるな…と呟く大地さんに
当たり前だろと言いたくなった。
初めてなのだ、心から誰かに恋するのは
大地
まあ、改めてこれからもよろしくね
暁 (なまえ)
暁 あなた
う、うん…!
今日は司波さんと仲良くなる一歩を
踏み出した気がする。



プリ小説オーディオドラマ