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第2話

旅立ちの前
45
2023/12/13 09:17
錆びついた鉄のような匂い…
肉や,木々が焼けこげる匂い…
鉄と鉄を強く打ちつけ合う、甲高い金属音…
ビュンッと、高速で放たれる魔法の音…
背中預け合い戦う…
美しい,空色の髪が血に染まっている…
???
大丈夫!?あなた!!
???
嗚呼…
戦況は最悪…
圧倒的こちらの不利だ…
この戦い…必ずこちらが負けるだろう…
???
わかっているだろう…
この戦い…こちらが負けるだろう…
???
動けるものを連れて,逃げてくれ!
そんな言葉を鼻で笑われる…
???
それじゃあ,あなたはここに残るってことのね?
???
大丈夫な時にいないで,何が妻よ!
私はここで時間稼ぎに付き合うわ!
…そう言って,強く剣を握り締めなおし敵に向かっていく彼女
嗚呼、そうだったね…
君はそういう人だった。
俺は、緑色の花火を打ち上げた。

俺たちの隊は、打ち上げた花火の色で、遠隔に指示を大まかに出している。
その意味は、毎度戦争開始前に決めている。
赤は中心を攻める。
青は外を攻める。
黄色は、中央に固まる。
そして,緑は撤退…
その花火を見た隊たちは撤退していく…
だが,敵軍の攻撃が激しく,逃げられないものもいる…
だから…
???
敵軍につぐ!
この地を収める王は私だ!
???
首を持っていきたくば、かかってくるがいい!
風魔法で、声を拡散するようにして,敵軍に告げた。
そして,堂々と何も無い敵の中央に行き,敵を迎え撃つ。
その間に,市民や兵士たちを流す時間を稼ぐ。
すると,奥の方で敵がバッサバッサと倒されていくのが見えた。
間違いない,彼女だ…
???
なっ!?
何故…
その答えはすぐ出た…
俺は,下唇を噛み締め,敵を倒す…


俺らは…何時間…いや、本当はもっと短かったのかもしれない…

それくらい戦った…
だが,もうダメみたいだ…
???
カハッ!
そんな声が聞こえ,振り返ると…
胸を剣で刺された、彼女がいた…
体はボロボロで,髪も所々焦げている…
???
なっ…!?ラ……!?
彼女の名前を呼ぼうとした時…背後から、刺された…
ばたりと,倒れる…
手を伸ばす…
血まみれの彼女に…
???
あ…あぁ…
みんなは,逃げれたかな…
俺のやったことは…間違っていなかったかな…
そんな事ばかりが頭をよぎった…
???
ぁ…な…だ…
俺は,そんな声に手を伸ばし…
そして………
その瞬間、首を切られた…
そして,その記憶を持つのが俺…ネバロス・ライア
この土地を統べる領主の息子だ。
因みに、長男ではないので土地を継ぐつもりはない!
そんな狭っ苦しいのは、前世から大っ嫌いだからな!

昔は、国のみんなは家族同然に接して、酒場に顔を出し肩を並べながら飲み明かす日々が、本当に幸せだった。
その姿を、妻は呆れたような表情を見していたが,一緒に飲んでいたことを思い出す。
俺は,一様剣は普通に強いから,旅に出ても賞金首狩りをすればある程度儲かる。
この世界は、どうやら俺がいた世界とは違うらしい…
エルフはいないし、魔力も…銃もない!
なんて,平和な世界…
戦争は剣と罠だけの肉弾戦だった。
ここには,剣と広大な土地しかない!
つまり,強い奴は上に立つ
ザ!弱肉強食!!
だが、世界は意外にも混沌としていない
『殺されたくないから,恩を売る』
うわべっつらの愛情はやがて,本当の愛情になるみたいで,俺の友人はそこからなんでも言える関係になってるらしい…
だから,子供を捨てる…なんて,する人はそういなかった。
本当に平和
平和だ
ネバロス・ライア
平和だよ…本当に……
そんな平和な日々…
でも,
じっとしてる時に思い出すのは、前世の妻の姿だった。
ベットに横たわっている
俺は左側を見る
何もない
涙がじんわり頬を伝う
ネバロス・ライア
あっはは…
乾いた笑いをこぼす



これは…俺が18になっても変わらない癖だ…
明日旅立つってのに,だらしない…
俺は,ベットから降り壁にかかっている剣を取り出し、窓から外に出る。
ネバロス・ライア
よっと…
俺の部屋は3階のこじんまりとした部屋だ。
あんまり,大きい部屋は居心地が悪くて父さんに無理を言って,この部屋をもらった。
兄者は、そんな俺に謙虚になりすぎだと怒られ,ゲンコツを喰らうことが何度あったことか…
それを思い出し、自分の頭を撫でる…
あれは…
あれは、痛すぎた…
そんなことに思いにふけつつ、俺は素足で庭の1番高い木に向かった。
ネバロス・ライア
さってと…
俺は、剣をスッと抜く…
この剣は、母が打ってくれたものだ…
鋼の剣…
何度も何度も、鍛え上げられた剣は…
月明かりに照らされ,流石に輝いている。
素振りをする
舞うように…
ヒュゴっと、くうを切り裂く音…
心地がいい…
一本にまとめられた,ルビー色の長髪の髪が靡く
自慢のサラサラヘヤーだ!
ケアとかは何にもしていないが、この髪は前世から変わらずサラサラだ。
売れば、多分そこそこな値段はするだろう
空を見上げる。
いつもより大きい満月だ…
満月の日は,いい日だ…
出会いの前触れでも…旅立ちの前触れ…
ネバロス・ライア
なぁ、俺はどんな旅を…君に話せるかな
俺が旅をするのは,死んで離れ離れになった妻にこの世界のことを話すための思い出作りってわけだ。
元はと言えば…あの女神のせいだ……………
それは,暫し遡り今の俺…ネバロスが生まれる前の話…








はい!
ながくなりそうなんで、おわんます
は?
いやいやいやいや…
ばいちゃ

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