第26話

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2023/01/21 09:47 更新
黒崎高志郎
待てよ(あなたの腕を掴む)
あなた
…なに?
黒崎高志郎
傷を触る
あなた
いたっ…
黒崎高志郎
怪我を直すのは家族の仕事
黒崎高志郎
それが1番効くんだから
黒崎高志郎
座って
かつて、怪我をした兄に向かって言った言葉。


まさかここで返されるなんて…





手当する間は互いに無言。その間、チラリと机の上を覗き見る。


山積みにされた書類は全てひまわり銀行、すなわち宝条に関するもの。


ようやく兄の仕事が1つ終わるんだ、という少しだけ安心した気持ち


同時に、親友を失う覚悟を持たなければいけなくて。


結局、兄のお荷物になってるんじゃないか、って不安になる。


もし私がいなければ、また別の結末を迎えられたんじゃないかな…
あなた
あの時…なんで生き残ったんだろ…
黒崎高志郎
手を止める
あなた
私、本当は死ぬはずだった…
あなた
生きちゃいけなかった
黒崎高志郎
何…言ってんの
あなた
だって…
あの日…

小学校から帰宅して、
あなた
ただいまー
黒崎舞子
あら、おかえり
あなた
遊びに行ってくる!
黒崎舞子
今日は行かないって言ってなかった?
あなた
そうだけど…
黒崎舞子
まぁいいわ
黒崎舞子
誰と?
あなた
ユラと行く!
黒崎舞子
北篠さん?
あなた
うん!
黒崎舞子
そう…
宿題は?
あなた
昨日頑張った!
黒崎浩司
おい!
黒崎浩司
誰かいるのか?!
黒崎舞子
いえ…
テレビの音ではないですか?
黒崎浩司
ったく…
黒崎浩司
静かにしとけよ…
あなた
お母さん…
黒崎舞子
ほら、行ってらっしゃい!
黒崎舞子
暗くなる前に帰ってくるのよ
美味しいご飯、作っておくからね!
あなた
でも
黒崎浩司
おい!
早くしろ!
あなた
…
黒崎舞子
今持っていきますね
あなた
お母さん!
そこには既に母の姿はなく、


私は外に出かけた
あなた
行ってきます



その途中、学校帰りの姉に会った。
黒崎明日香
あなた?
あなた
お姉ちゃん
黒崎明日香
どこか行くの?
あなた
うん
黒崎明日香
今日は家にいるんじゃないの?
あなた
ううん
黒崎明日香
そうなんだ

黒崎明日香
そうだ、あなた、誕生日おめでとう
黒崎明日香
帰ってきたら、良いものあげる!
あなた
ほんと?!
黒崎明日香
うん
黒崎明日香
早く行きな
楽しんできて!
あなた
はーい


これが、

なんてことない会話が、


最後だなんて思いもしなかった





家に帰ってきて、


眠ったままのお母さんとお姉ちゃん


血まみれのお父さん


潰されて赤く染まったプレゼントを見た時


私の中で何かが変わったのかもしれない
あなた
みんなが死なないと分からなかった
あなた
私は守られていただけなんだって
黒崎高志郎
それは、俺だって同じ
黒崎高志郎
何も出来なかった!
黒崎高志郎
だから、宝条を喰うしかないんだ
これしか、俺に出来ることは…
あなた
そう思うなら!
私のことを気にせずに行ってきて
あなた
ようやく喰えるんだよ?
あなた
ずっと追いかけてきた相手を
黒崎高志郎
でも…
あなた
私は信じてるから
あなた
絶対やってくるって
黒崎高志郎
相手は大手銀行
簡単じゃないって分かってるだろ
黒崎高志郎
場合によっては俺も、あなたも…


あなた
…ねえ、知ってる?
どんな色でも塗りつぶせる色って黒だけなんだよ
あなた
ほかの色では成し遂げられないんだって

あなた
貴方はクロサギ
詐欺師を喰う唯一の詐欺師
あなた
シロサギを、社会を巣食う詐欺師を、
喰ってきて

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