第77話

77.スカウトマン
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2024/05/02 09:44
noside


今現在、マッシュと神覚者カルド・ゲヘナの勝負が始まろうとしていた
マッシュ・バーンデッド
受けて立ちましょう
そう言うと、彼の足下が円で区切られる
カルド・ゲヘナ
もちろん本来のアッチ向いてホイとは少し違う
カルド・ゲヘナ
じゃんけんはなし。さらに僕が最初に指を指す
カルド・ゲヘナ
君は3つ数えるまでに指先の方向を向いていなければ勝ちだ
カルド・ゲヘナ
その円から出ずにね
マッシュ・バーンデッド
ガッテン
のほほんとした表情で挑む彼
カルド・ゲヘナ
3回勝負でいこう
カルド・ゲヘナ
君が全部避けられたら勝ちだ
カルド・ゲヘナ
それじゃあいくよ
カルド・ゲヘナ
あっち向いてホイ
そして彼は上を指す


と、同時に下から魔法の攻撃が迫ってくる


無理矢理上を向かせるものとなっていたがマッシュは…
マッシュ・バーンデッド
アブネ
横を向いたまま避ける
カルド・ゲヘナ
おっ、いいね。じゃあ次いくよ
カルド・ゲヘナ
あっち向いてホイ
今度は2方向、右と左を指した


そして両側から魔法が迫ってくる。どちらかを向かなければ避けられない仕様だが……
マッシュ・バーンデッド
フン
彼は2つの攻撃魔法を素手の拳で受け止めた
カルド・ゲヘナ
この程度だと素手でどうにか出来ちゃうのか
カルド・ゲヘナ
面白い
カルド・ゲヘナ
面白いよ
そう言って彼は自身の腰に差していた剣を抜く
マッシュ・バーンデッド
カルド・ゲヘナ
この剣にかけられた魔法の黒炎は、触れたものが燃えつきるまで燃え続ける
カルド・ゲヘナ
つまり触れたら君は死ぬまで燃え続ける。これでさっきのように受けることは不可能だね
ニコリとどす黒い笑みを浮かべて言い放つ


なんとも禍々しい雰囲気だが、当のマッシュは…
マッシュ・バーンデッド
コエー
ファーンと呑気な雰囲気のままであった


なんなら見守っている仲間達の方が不安を抱えている
カルド・ゲヘナ
じゃあ最後いくよ…アッチ向いてホイだ
今度は三方向


カルド本人がマッシュを斬りつけにかかる
カルド・ゲヘナ
3
カルド・ゲヘナ
2
横から来た剣を避けたとき、彼が下を向いたと同時に下から剣が出てくる
カルド・ゲヘナ
1
フィン・エイムズ
!?
マッシュは……飛んだ


なんと、地面の円ごとくり抜いて真上に飛び下を向いたまま避けたのだ


彼にしか出来ないパワープレイに仲間達は呆気にとられる


勝ちかと思ったが……
フクロウ
ホーホー
何処からやって来たのかフクロウがマッシュに近づき……


彼のローブからシュークリームを奪う
マッシュ・バーンデッド
マッシュ・バーンデッド
あ、右向いてもた
マッシュ・バーンデッド
負けてしまった……
カルド・ゲヘナ
いいよ、今のはノーカンで
マッシュ・バーンデッド
カルド・ゲヘナ
この勝負は引き分けにしよう
マッシュ・バーンデッド
カルド・ゲヘナ
いいだろう。それで
マッシュ・バーンデッド
じゃあお言葉に甘えて
カルド・ゲヘナ
でも
カルドの雰囲気が途端に変わる
カルド・ゲヘナ
この程度だと、マカロン相手には厳しいかもね
有無を言わせない圧が彼に向けられる


しかし、数秒後雰囲気は一転して彼はクルリと体の向きを変える
カルド・ゲヘナ
あなた・あなたの名字。君には少し話があるから着いてきて貰えるかな
あなた
え”っ……
突然自分に矢先が向き、明らかに嫌そうなあなた


周りに助けを求める視線を送るも、皆神覚者相手にはものを言いづらいのかその視線に気付かないふりをする
カルド・ゲヘナ
忘れたのかな?僕は人材管理局局長……
あなた
行きます
カルド・ゲヘナ
うん。そうだよね
カルド・ゲヘナ
それではちょっと彼女を借りるよ
マッシュと同様、脅されたようにも見えるが皆黙って見送った


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あなた・あなたの名字side


糖尿病まっしぐら神覚者さんに連れてかれたのはとある一室


控え室ともあんまり変わらない広さぐらい


話ってなんだろ…ハチミツのカツアゲでもされるのかな
カルド・ゲヘナ
君に話したいことなんだけど……
カルド・ゲヘナ
魔法人材管理局に来ないかい?
あなた
……え
あなた
遠慮しときます。私神覚者になりたいので
カルド・ゲヘナ
……話だけでも聞いてくれないかな
あなた
えー…
カルド・ゲヘナ
人材管理局局ty……
あなた
どうぞ。いくらでも聞きます
カルド・ゲヘナ
うん。それならよかったよ
危ない危ない


この人が認めなきゃ私神覚者になれないんだった…
カルド・ゲヘナ
君は今回の試験で怪我をした生徒の治療を自主的に行っていたね。しかも高等魔法である治癒魔法で
カルド・ゲヘナ
その善の心と腕前を見込んで…人材管理局に、そして僕の秘書として活躍してもらいたいんだけどどうかな?
あなた
…やっぱり、遠慮しときます
カルド・ゲヘナ
…それは、神覚者になりたいからかい?
あなた
それもありますけど…
…誰かの幸せを守るために、まずは身近な人から助けていかなきゃいけない


そう思ってしていただけの、ただの自己満足


それをそんなに高く評価されても私の本当の価値には見合わない
あなた
…私のしていることは偽善です。あなたを支える人間はそんな自己中であってはいけないです
あなた
なので、断らせてもらいます
一瞬、目の前の人の目が見開かれた気がした

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