〜誰もいないセカイ〜

……

(ウラの、あの表情…)

——メイコ、ありがとね

ボクも、ちゃんとボク自身と向き合っていこうと思う

……とうとう、その時が来るのかもしれないわね
——おい

……!
トコトコ

……

……何?

あなたの下の名前について、聞きたいことがある

今日あいつの様子が、いつもと違うように見
えた。知ってることがあるなら教えろ

!……

……あなたがあの子を気にかけるなんて、珍しいわね

——あいつの言葉には、まふゆを動かす力がある

あいつは、まふゆが進むために必要な存在だ

…………そうね

……

…………詳しいことは、私にもわからないわ

けれど——あなたが来た時、少し話した時よう
に……あの子はとても大きな想いを控えている

……きっと今、あの子は、
その想いに本気で向き合おうとしているわ

逃げることを、やめて

……なるほどな

だが……俺の目には、あいつはまだ揺らいでいるように見えた

あいつは、何を恐れ、何から逃げている?

それは…………

……私から言うべきことではないわ

…………チッ
トコトコ

……!
——待って、カイト

……あなたの下の名前のところへ行くつもり?

ああ

やめてちょうだい


ウラは今、
薄い氷の上を歩くように進もうとしている

今のあの子にとって、あなたの言葉は強すぎ
る。……踏み荒らさないでちょうだい

……このまま何もするなと?

……

それで問題が解決するならいい。
だが——傍観してるだけでは、何も変わらないだろ

——自分のやり方が常に正解だと思わないで

なら、お前が今のあいつをどうにかできるのか?

……っ
トコトコ

……カイト……!

——待ちなさい!!
タッタッタッ
〜あなたの下の名前の部屋〜

…………

(やっぱり……送れない……)

(絶対に話すって……
そう、決めたのに——)

……

…………怖い……
『——おい』

え?……あ!
シュッ
スマホからKAITOが出てくる

カイト……

どうしたの?
カイトがボクのところに来るなんて、珍しいね

『——お前に話がある』

話、って……?

『お前は、一体何を——』
『——カイト!』

え……!
シュッ
MEIKOもスマホから出てくる

『……いい加減にしなさい、カイト……!』

『あなたにそこまで立ち入る権利はないわ!』

メ……メイコ……?

『……お前が、そこまで介入するほどなのか』

『……』

『——わかった。
だが、これだけは言わせろ』

『あなたの下の名前。
お前、何かを迷ってるな?』

……!

『……何に迷っているか、俺には知る由もないがな』

『だが——』

『迷いが生まれているのは、
何かを選ぼうと——選びたいと、
誰でもないお前自身が思ったからだろ』

『きっと……お前もわかってはいるんだろうけどな』

……

『——進むか退くかは好きにしろ』

『だが、今抱えてる苦悩の中からお前は……
お前自身を救うための道を、選び抜く必要がある』

『ただ……生きるために』

……カイト……

『……』

『——あなたの下の名前』

『私にできることは、見ていることだけだわ』

『けれど、
あなたの苦悩を、私は見てきた』

『ずっと、そばで』

……メイコ……

『……本当はこれからも、触れるべきじゃないと思ってる』

『あなたの下の名前の抱えるものはとても……
とても、胎く崩れやすいものだから』

……

『けれど——』

『見届けるわ。
それが‘’どんな結末になろう‘’とも』

『未来まで——最後まで。必ず』

あ…………

——うん

……ありがとう。ふたりとも

でも…………

もう少しだけ……もう少しだけ、時間がほしいんだ……
『……』
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