壁が見えた瞬間、
胸の奥で嫌な音がした。
——空いている。
確かに、
壁には大きな穴が空いていた。
だが、次の瞬間、違和感に気づく。
穴は、
巨大な岩で塞がれていた。
思わず呟く。
岩は無理やり押し込まれたように、
歪に壁に嵌まっている。
隙間はなく、
少なくとも巨人が通れる状態じゃない。
周囲がざわつく。
兵士たちの声が重なる。
混乱したまま、
私たちは壁の上へ登った。
そこで下に見えたのは、
見覚えのない三人と、
——リコちゃんだった。
しかも、
その四人の背後には、
二体の巨人。
距離が、近すぎる。
まずい_______
考えるより先に、
身体が動いた。
声を上げるのと同時に、
私は左へ飛び出す。
リヴァイは一瞬で理解し、
右側の巨人へと突っ込んだ。
私は、
残った一体へ。
ガスを最小限。
軌道は低く、速く。
巨人の視線を切り、
死角へ回り込む。
——速い。
でも、焦らない。
一閃。
刃が、
確実にうなじを捉えた。
巨人が崩れ落ちるのと、
ほぼ同時に、
もう一体も地面に伏した。
静寂。
血の匂いが、
風に混じる。
蒸発する巨人の近くに立つ四人は、
呆然とこちらを見ていた。
その人達に、
リヴァイが問いかけた。
低く、鋭い声。
四人は、言葉を失ったまま、
ただ息を呑んでいた。
説明を聞くより先に、
私は周囲を見渡す。
——まだ、終わってない。
私の言葉に、
リヴァイが短く頷く。
その後は、
考える暇もなかった。
壁の内側。
街の中。
混乱と恐怖の中を、
私たちは飛び続けた。
でも空は、
まだそこにある。
でも今は、
楽しんで飛んでる場合じゃない。
一体ずつ、
確実に。
私たちがやらないと。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。