俺は、知らない場所にいた
ここは…どこ、…
目だけを周りに泳がせる
白い、無機質な部屋
ところどころチューブが刺された腕
そして…横に座って ゛泣いている〝 であろう両親
あぁ、そうか
ここは、《病院》だ
俺が、1番来たくなかった場所
多分、俺のことを治療してくれた医者であろう人が
話しかけてきた
医者が去り、3人だけになった
今なら、本当の心配、してくれるかな…
俺は微かな希望を抱き、正直に打ち明けた
心配は…?俺のこと、好きで…好きじゃないの…?
そうか、最初から、
2人は俺のことなんて 愛してなかったんだ
どうでもいい、実験台
完璧人間になれなかったから
見切りをつけられたんだ
嗚呼、結局…俺はだめだめなんだ
もう、俺は、なにすれば…
どうすれば、いいの…?、
親の言う通りに、全部信じてたのに
その親が裏切ったのなら
俺も、なにも信じなくていいよね
そう考えたら、急に楽になった。
そして、俺は完璧、なんて肩書は捨て
いつしか、人間不信へと生まれ変わっていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!