第40話

12月1日
729
2026/07/08 10:00 更新








 流輝の言葉が、胸の中でずっと響いていた。

 








🐿️「なんで勝手に決めとるん」

  





 その一言が、逃げ道を全部塞ぐ。

 




 息がうまくできない。




 

 でも、それでも。

 





 言わなきゃいけないって思った。






 


「……だって」

 





 声が震える。

 




 喉が痛い。

 











「好きやから」











 

 一瞬、風の音だけになる。

    




 言ってしまった。

 




 口に出した瞬間、後戻りできない言葉。

 








「……“流輝”が大好きやから」






 




 流輝の目が少しだけ揺れた。

 




 でも、わたしは止まれなかった。

 






「だから、離れたい」









 

 その言葉を言うと、胸の奥がきしむ。





 

 ほんとは逆なのに。

 






 本当はずっと一緒にいたいのに。

 







 でも





 

 このままだと




 

 流輝を困らせる。






 悲しませる。






 

 それだけは、嫌だった。








 

「わたしが勝手に好きになって」

 




 声がかすれる。

 




「勝手に一緒におって」

 





 息を吸う。








 

「でも最後までおる自信ない」





 



 ……これが本音だった。



 

 流輝を見れない。

 





 怖い。





 

 怒られるかもしれない。





 呆れられるかもしれない。

 






 でも。

 


 流輝は、少しの間黙っていた。







 

 そして。






 

🐿️「……好きなんやろ?」

 





 静かに言った。

 



 心臓が止まる。



 

 その言葉に、また逃げ場がなくなる。

 








🐿️「やったら」

 




 流輝が一歩近づく。

 




 風が少し弱く感じた。

 







🐿️「離れる理由、それだけでええん?」

 






 その声は、優しいのに。




 

 すごく強い。




 

 わたしの全部を見透かしてくるみたいだった。

 




 好きだから離れたい。

 







 その矛盾を

 




 ちゃんと分かってるみたいに。

 







 わたしは何も言えなくなる。






 

 屋上の空が、少しだけ滲んだ気がした。






プリ小説オーディオドラマ