流輝の言葉が、胸の中でずっと響いていた。
🐿️「なんで勝手に決めとるん」
その一言が、逃げ道を全部塞ぐ。
息がうまくできない。
でも、それでも。
言わなきゃいけないって思った。
「……だって」
声が震える。
喉が痛い。
「好きやから」
一瞬、風の音だけになる。
言ってしまった。
口に出した瞬間、後戻りできない言葉。
「……“流輝”が大好きやから」
流輝の目が少しだけ揺れた。
でも、わたしは止まれなかった。
「だから、離れたい」
その言葉を言うと、胸の奥がきしむ。
ほんとは逆なのに。
本当はずっと一緒にいたいのに。
でも
このままだと
流輝を困らせる。
悲しませる。
それだけは、嫌だった。
「わたしが勝手に好きになって」
声がかすれる。
「勝手に一緒におって」
息を吸う。
「でも最後までおる自信ない」
……これが本音だった。
流輝を見れない。
怖い。
怒られるかもしれない。
呆れられるかもしれない。
でも。
流輝は、少しの間黙っていた。
そして。
🐿️「……好きなんやろ?」
静かに言った。
心臓が止まる。
その言葉に、また逃げ場がなくなる。
🐿️「やったら」
流輝が一歩近づく。
風が少し弱く感じた。
🐿️「離れる理由、それだけでええん?」
その声は、優しいのに。
すごく強い。
わたしの全部を見透かしてくるみたいだった。
好きだから離れたい。
その矛盾を
ちゃんと分かってるみたいに。
わたしは何も言えなくなる。
屋上の空が、少しだけ滲んだ気がした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!