今日はついに、親友で、私の担当の編集者である
ココナに出来上がった小説の全編を見てもらう日。
これが通ればすぐに出版社に持っていき、
逆にストップが掛かれば練り直し。
1枚、また1枚と、ココナは原稿を読んでいく。
「 行ってくる〜!!」とココナはドタバタと
急いで、原稿の入った封筒を持って
出ていってしまった。
私はここ数週間の肩の重荷が落ちた気分で、
イスに深く腰掛けた。
ここ最近、ふっと仕事モードが抜けた時に
浮かぶのは、ハムスターさんとの会話。
話題はなくなるどころかコロコロ変わっていて、
昨日はハムスターさんが、厳しい人がいて、
その人に珍しく褒められたって言ってたな。
作家の『HINA』であることや、
実は25歳の日本人なんです。すら
ハムスターさんには伝えていない。
今こんなにハムスターさんと仲良くなれている
のは、お互いのことを深く知りすぎていないから。
きっと私かハムスターさんのどちらかが
正体を明かした時、今まで通り気負わずに
話せなくなると思うから。
でも、心のどこかで、
ハムスターさんにもっと私を知ってもらいたい
なんて思っている自分がいる。
なぜなのかはわからない。
けど、少し殻を破ってみるのもいいかもしれない
と、この時の私は思ってしまった。
このメッセージを見て、
ハムスターさんはどう思うんだろう?
『サメさんも書いてるんですか!?』って
びっくりするかな? それとも…
『もしかして、作家さん…?』って
勘付かれちゃうかな?
リスクは高いかもしれない。けれど、
今の私にはちっとも気にしていなかった。
いつか、海の向こうにいるサメさんと、
顔を合わせて話したいな_____













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!