お風呂場を出ると照以外の皆がいた。
ぞろぞろと皆が入って行く中でめめが私に近付いてくる。
無理矢理座らされた後、めめはお風呂場に入っていったと思ったら、ドライヤーを持ってすぐに出てきた。
私が座っているところの近くのコンセントに差すと後ろからドライヤーの音が聞こえた。
ドライヤーを受けとろうとしたが、めめの手が私の髪に触れた。
撫でるように私の髪を触るめめの手は、とても優しくて心地良くて目を閉じた。
頭の頂点にめめの顔が近付いて鼻が触れる感触がする。
そう言ってドライヤーの音が切れたのでめめの顔を見上げると
お風呂場の入り口の方を見て笑ってる。
そちらに目をやると怖い顔をした照がいた。
そう言いながらめめはドライヤーを照に渡してお風呂場に入っていった。
照は何も言わずに私の髪を撫でる。
窓に映る照の顔は険しいが私の髪を触る手は優しかった。
ドライヤーの音が消え、後ろにいた照が私の前に回ってきた。
手にオイルを出して私の頭を撫でるように髪にオイルをつけた。
照は膝立ちになって私の手をぎゅっと握った。
真っ直ぐに見つめられながらそう言われて胸がドキッとした。
照の手が私の頬に伸びてきて軽く触れる。
頬に触れている照の手に自分の手を添える。
私が微笑むと照も優しく微笑んでくれた。
照のこの優しい顔を見てると不思議と落ち着く。
照に触れられると力が湧いてくる。
そう思いながら照を見ていると照も私から目を逸らさずにいた。
照の手に添えていた私の手が逆に握られて
照の唇に指が当たる感触がする。
唇に指が当たったまま上目遣いで照に見つめられて、顔が赤くなるのが分かった。
そのまま無言で2人見つめ合う。
なんだか今この世界に私達しかいないんじゃないかってそんな気になる空気が流れた。
お風呂の入り口からメンバーの声が聞こえてきて
私も照も慌てて触れていた手を離して立ち上がって
不自然にお互いに背を向け合った。
照は早足でお風呂場に姿を消して行った。
私も逃げるように早足でその場を後にした。
走って自分の部屋に入って扉を閉め、その場に座り込む。
まだ胸がドキドキして照の唇の感触が指に残ってる。
照の唇が当たっていた指でそっと自分の唇に触れる。
分かっていたような気がするのにやっと自分の中でハッキリした。
憧れとかじゃない。
1人の異性として照のことが好きなんだ。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!