第43話

見てしまったもの
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2026/09/01 10:00 更新
工業地区。

深夜。



冷たい風が吹いていた。




しかし。


その場にいた兄達は。



そんなことを気にする余裕がなかった。




 
 
 

喋らない。

喋れない。



目の前の光景が。

理解を超えていた。



炎。

雷。

風。

水。

植物。

血。




6人の能力が夜の闇を照らしている。
Atto
夢……?
あっとが呟く。



……しかし。

夢ではない。




確かに見えている。

聞こえている。

感じている。




全て現実だった。
一方。

6人はまだ気付いていなかった。



大型魔獣との戦闘。

そちらに集中している。
魔獣
グァァァア!!
魔獣が突進してくる。
Rinu
散開ッ!!
莉犬の指示を合図に、全員が動いた。



連携。

判断。

動き。


どれも洗練されていた。


 


まるで。

何年も戦ってきたように。


実際そうなのだが。

 
 

兄達は知らない。


知らなかった。




今までずっと。
Rose
……待ってよ
ロゼが呟く
Rose
じゃあ最近の怪我って……
Rose
これで…?
Shion
戦ってたってことか…?
心音も言う。



少しずつ。

点と点が繋がっていく。



帰宅が遅い日。

増えた怪我。

消える休日。

不自然な言い訳。



全部。

全部。

 

ここに繋がる。
Shiyun
馬鹿だろ……
しゆんが小さく言う。


怒っているわけではない。


むしろ逆。







危険なことを一人で抱えていた弟を思うと。


胸が苦しくなった。
その頃。

魔獣との戦いは終盤に入っていた。

Pretz
今ッ!
ぷりっつの植物。

動きが止まる。
Vau
任せろッ!!
Tigusa
合わせるよッ…!
Light
いくぞッ!!
3人の攻撃が重なる




最後に。

莉犬の炎。




ドォォォォォン!!


巨大な爆発。



魔獣が消滅する。


Tigusa
終わった……
いつも通り、ちぐさが座り込む。

全員も息を吐く。




任務完了。


その瞬間だった。
?
……ねぇッッ


誰かの声。




6人が振り返る。













そこにいたのは。





兄達だった。
空気が止まる。







完全に。



止まった。


Light
……え
Pretz
は……?












全員同じ感想だった。





終わった。


色々と。
兄達は黙っている。






第七部隊も黙っている。





数秒。



いや。


数十秒。


 





最初に口を開いたのは。



しゆんだった。
Shiyun
……どういうことだよ
短かった。




だが。


圧が凄かった。

Vau
ッえっと……
Takeyaki
今すぐ話して
Vau
……はい


普段なら反抗する。



でも今は無理だった。







完全に見られた。



言い逃れできない。





Atto
だから、最近帰り遅かったんだね
あっとが言う。
Tigusa
うん…
Atto
怪我も?
Pretz
そうや…


Atto
危ないこと、してたの?
Tigusa
……
Tigusa
うんッ
全部正解。



あっとの顔がどんどん曇っていく。




怒っているわけではない。



心配している。



それが分かるから。


2人は少し、気まずかった。



ななもりも黙っていた。





しかし。


次の瞬間。



思い切り、莉犬の頭を叩いた。


バシッ
Rinu
いてッ……
Nanamori
……ッ無茶しないでって、言ったじゃん
静かな声。



本当に。


静かな声だった。




だからこそ。


重かった。
Nanamori
心配ッ、したよ…
Rinu
……
莉犬は何も言えなかった。


そして。

らぴすとらいとの兄達。



こちらも黙っていた。




しばらく。


本当にしばらく。



黙ったまま。





そして。

ロゼが言った。
Rose
……怪我は?
Lapis
ないよ
Rose
らいとは?
Light
…ない
Rose
そっか……
Shion
……




らぴすとらいとは目を逸らす。


兄2人がため息をつく。


Shion
やっぱりッ…
Nanamori
……なんて言わなかったのッ
Light
……
何も言えなかった
誰も怒鳴らなかった。



責めなかった。






ただ。

心配していた。



それだけだった。





だからこそ。

6人は少しだけ苦しくなる。




ずっと隠してきたから。



守るために。

心配させないために。



でも。

結果的に一番心配させてしまった。







そして、兄弟達が能力を知った今。




もう、今まで通りではいられない。

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