あなたの下の名前の通信は基本的に、全隊員の通信が全て聞こえる状態になっている
そのため市川と古橋の通信の声が急に聞こえなくなったことに違和感を持ち状況を調べたことで、市川と古橋の位置情報の消失に気付けたのだが───
それはあくまであなたの下の名前だけの話
あなたの下の名前は、二人と連絡が取れないことに気付いてすぐに動き出した
もちろん、オペレーターにも誰にも報告はしていない
つまり、無断で行動しているのだ
もうあなたの下の名前のインカムからは何も通信が聞こえない
それは、あなたの下の名前が二人の近くに居ることを表している
通信障害のエリアはかなり広範囲だが、あなたの下の名前にとっては狭いも同じ
ここまで二人に近付けば、あとは気配と音を探るだけで容易に居場所を特定できる
スッと目を閉じ、集中する
気配は⋯⋯⋯このまま真っ直ぐ
そこに、二人と9号が居る
そう呟きながらあなたの下の名前は道を駆ける
ところどころ建物の屋根や壁を蹴り、道をショートカットしながら二人のもとへ向かった
古橋side
オレたちの目の前に居るのは、謎の人型の怪獣
コイツが、四ノ宮を追い詰めた9号
全く歯が立たなかった⋯⋯⋯!
レノにとどめを刺そうとしている9号
それをただただ指を咥えて見ているだけなのが嫌で、オレは叫んだ
唐突に、そんな声が頭上から聞こえる
その直後、月明かりが何かに遮られ、オレの上に陰が落ちた
そして───9号の腕がバラバラになった
オレの前に着地したのは、一人の隊員
後ろ姿しか見えない
けれどオレには分かる
その後ろ姿は、その声は────!
そう言った神桜隊長を改めて見ると、いつの間にか神桜隊長はレノを抱えていた
あの一瞬で9号に攻撃してレノを助けたのか⋯⋯⋯!
壁にもたれるようにレノを寝かせた神桜隊長は、オレたちを守るかのように前に立ち、そう言った
神桜隊長からは、何も変化が感じられない
怒っているような言葉を口にしつつも、いつも通り緩い気配を纏う神桜隊長
どこか余裕を感じられる神桜隊長を見て少し安心してしまう自分が居る
神桜隊長の口角が、少し上がった気がした
なのにそれは、戦いを楽しみにしているようにも狂気の笑みにも見えない
底知れない強さだけが、神桜隊長を包んでいた













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。