゛ 赫 視点 ゛
文化祭が終わって数日 。
なんとなく疲れは残ってるのに 、
胸の奥だけは ずっと落ち着かなかった 。
理由は一つ 。
─── いるま が あなたの下の名前 に告白した事 。
それを聞いた時 、
胸がずっと ザワザワしていた 。
いるま が あなたの下の名前 に好意を寄せている事は
なんとなく知ってた 。
あいつ が 何も言わないから 、
見て見ぬフリを 続けたつもりだった 。
でも 告白したと聞いた時
腑に落ちた感覚と 、
名前も分からない感情で心が沈んだ 。
でも あなたの下の名前 が 断ったと知った瞬間 、
自分でも 驚くくらい ほっ としてしまった 。
いるま は 大事な親友なのに 。
安心した 自分に気付いて 嫌になる 。
昔からずっと一緒に居た 。
誰よりも近くに居た 。
笑う顔 . 怒る顔 . 泣く顔 . 不機嫌な時の顔
どんな 顔も知ってる 。
─── でも その向けられる顔は 、
゛ 幼馴染 ゛として 。
恋として見てくれたことなんて 、
1回も無かった 。
いるま が 校門前で話しかけてきた 。
いつになく 落ち着いた声だった 。
そう言う いるま の笑顔は 、
どこか 棘と寂しさが感じ取れた 。
胸が鋭く痛んだ 。
言われたくない
この 俺が楽な関係が崩れそうだから 。
でも その言葉に縋りたい自分も居た 。
否定した声は 少し小さくなった 。
でも それを見逃さず
いるま は首を横に振った 。
いるま は 途中で言葉と止めた 。
息が止まった 。
試してるかもしれないし 、
その言葉が本気なのかも分からない 。
その一言が 胸に刺さる 。
いるま は あなたの下の名前 を奪うつもりは無い 。
でも 諦めるつもりも無かった 。
そんな想像が 、耐えられなかった 。
話した後 、あなたの下の名前 が近付いてきた 。
いつも通り明るくて 、
俺達を見て笑ってくれた 。
その笑顔を見るだけで苦しくなる 。
だから避けた 。
あなたの下の名前 を傷付けたくないくせに 、
どうしたらいいか 分からなくなった 。
自転車が突っ込んで来た時 、
考えるより先に 手が動いた 。
抱き寄せた感触 。
目の前で 傷付くんじゃないかと 震えた 。
自分でも分かるくらい 声は弱かった 。
情けなかった 。
でも 、これが本心だった 。
好きなんだ 。
ずっと 、ずっと 。
だけど言えば 関係は崩れる 。
あなたの下の名前 の笑顔を曇らせたくない 。
だから 今日も言わない 。
言えない 。
そしてまた 、
守りたいのに 傷付けてしまった 。
振り返れなかった 。
振り返ったら 全部言いそうだった 。
心の中に閉じ止めてきた想いが 、
あの小さな声で
… 全部解けてしまいそうだった 。
だから逃げた 。
─── 幼馴染 のままで居たいなんて嘘だ 。
本当は 。
胸が痛くて 、息が苦しかった 。
夕焼けの色さえ 滲んで見えた 。
なつ は まだ知らない 。
その夕方 、あなたの下の名前 のスマホに
“ いるま の メッセージ ” が届いたことを 。
そして 、
その メッセージ が 3人の関係を
さらに 揺らすことを 。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。