あなたside
放課後
部活もない私は帰ろうと荷物をまとめていた
クラス内は他クラスの人も集まって人が多く賑わっている
帰ろうと思って鞄を背負おうとしたとき
扉の方がざわついた
勇志くんが、普通の顔で教室に顔を出す
女子たちが一斉に色めき立つ
空気が凍る
勇志くんとはバチッと視線がぶつかって
逃げ場はない
私は急いで扉の方に向かった
私は廊下の奥を指さして
さすがに私の学年に勇志くんがいるなんてバレたら
もっと大きな騒ぎになってしまうから
私は焦って人気の少ないところに行った
私は不安でいっぱいで周りをきょろきょろしていると
って何も気にして無さそうに笑う勇志くん
勇志くんは良くても、私が駄目なのに
そんなに怒ったわけじゃないのに
拗ねたみたいに下を見てあからさまに落ち込む勇志くん
どこまでも不思議すぎる先輩
たしかに、最後の授業の時、雨の音がしていた気がする
廊下に響く他の生徒の声
私たちがここで話してるのがバレるのも時間の問題で
ただ私と帰りたいだけってこと?
最初は傘を理由にいこうとしてたの、勇志くんらしい
勇志くんはここにいてください とだけ言って
私は教室から爆速で鞄を持ってきて
人通りの少ない階段から帰る
相手が勇志くんじゃなければ
私が誰と帰っていようが誰も興味ないのに
2人揃って校門を出たら
空はさっきとは うって変わって晴れている
そう言うと目を細めて笑う勇志くん
その後少し照れたように視線を逸らした
その一言で、時間が止まったみたいになった
勇志くんの声が、いつもより少しだけ真剣で
低くて、まっすぐだった
勇志くんの、優しいその気持ちは全部伝わってるけど
私も、って言葉が出てこない
それは、
私なんかが勇志くんと釣り合うなんて到底思えないから
私なんかが、
勇志くんからの気持ちを独り占めにするなんて
悲しいけど、絶対にありえない
そう思ったらここに居てもたってもいられなくなって
勇志くんから逃げるように走ってしまって後悔した
誰もいない小道で、一人で悲しくなる
私がこう思ってしまうのには理由がある
数日前の話だった
「勇志くんと仲良い?」
廊下で突然声をかけられた
巻き髪が大人っぽい、女の先輩だった
「最近サッカー部のこと見に来てるよね?」
「あのさ、こっちはずっと前から勇志くんのこと好きなの」
「最近好きになったんだか知らないけど、邪魔だから諦めてくれない?笑」
高圧的な言葉にびっくりして
「後輩がよく出しゃばれるよね笑」
「まぁもう諦めてくれたらそれでいいけど」
胸がぎゅっと縮んで、言葉が出なくなった
何もしていないのに、どうして責められなきゃいけないんだろう
無性に悲しくなった
もうサッカー部の試合は見に行かないようにしなきゃ
それに、二人で帰るのも...良くないよね
でも、
それは少し寂しいって思っちゃうのは
私は勇志くんのことを、気になってるのかな












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!