翌日・日曜日の午後 。
私はお菓子の入った紙袋を手に
隣の部屋の前に来ていた 。
そう 、引っ越してまずすることは
近隣の部屋に住む方への挨拶!!
これでこれからの住民関係が
左右されると言っても過言ではない 。
緊張しながらも覚悟を決め
えいっとインターホンを鳴らす 。
ピーンポーン ♩
軽快な音が響き
少しの間静寂が訪れる 。
しかし 、いつになっても
その静寂は止まない 。
運悪く外出中らしい 。
ふぅっと息を吐き出し
また今度来ればいいだろうと
その場を後にした 。
同日の夜遅く 。
夜食を摂りたくなった私は
薄手のカーディガンを羽織って
近くのコンビニへと向かった 。
会計を済ませ
店員にお辞儀をして店内を出る 。
夜の東京の住宅街は
街灯によって明るく照らされている 。
その道を足早に歩いていると
曲がり角で人の気配がした 。
知らない男性にそう声をかけられた 。
私はその場にフリーズする 。
え 、お嬢さん??
私中高生だと思われてる?
今度大学生になる身なのですが 。
私の身長が低いから???
そんな馬鹿馬鹿しいことが
一瞬脳内で駆け巡っていたが
すぐにはっと我に返る 。
本能が危険を察していた 。
これっていわゆるナンパや誘拐
をするときの声の掛け方だ 。
逃げ 、ないと ……
上手くそういって
その場から逃げようとしたが
その前に腕を掴まれた 。
深めに被ったキャップの隙間から
にこっと目を細めているけど
明らかに笑っていない 。
私は掴まれた腕を必死に
振りほどこうとした 。
けど体格差でそんなことできるわけなくて 。
背筋が凍り頭の中は真っ白 。
呼吸が上手くできない 。
必死に声を絞り出した瞬間
ガッと 、何かを掴む音が響いた 。
涙目になりながら後ろを振り返ると
別の男性がキャップの男性の腕を
これでもかと強く掴んでいた 。
赤の長い髪を一つに結い 、
翡翠色の双眸が鋭い光を放っている 。
腕には警察官であることを示す腕章 。
これでもかと整った容姿 。
そんな彼の薄い唇が開き
夜の街に低く静かな声が響いた 。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!