─問side─
5月30日のこと。
僕は明日が楽しみで仕方がなかった。
言ちゃんに頼まれ、明日は二人とも有給を取っている。
フリバの途中で、言ちゃんが僕の袖を引っ張って囁く。
皆はクイズに夢中になって時間を気にしていなかったけれど、ふと見れば23時を過ぎていた。
家に帰って日を跨ぐと決めていたのに、このままだと間に合わない……
困っている僕の様子を察してか声を掛けてくれた救世主は、僕たちよりも忙しそうな伊沢さん。
さすがにご厄介になるわけには……と二人で遠慮していると、「会社の最寄り駅までだけでも」と言われ、結局お言葉に甘えることになった。
片手を上げてキメ顔で言う伊沢さんに二人でお礼をする。
僕たちは無事終電に乗ることができ、二人で言ちゃんの家へと帰った。
歌い終わって、朝のうちに僕が作っておいた小さなケーキを二人で食べる。
それからLINEに大量に届いていたお祝いメッセージに気づき、順に返していった。
消え入りそうなその声をギリギリで聞き取り、少し間を空けて「そうだね」と返す。
……何が楽しいんだか僕には分からなかったけど。
朝はゆっくり寝て、11時くらいに言ちゃんが作ってくれたブランチを食べてから、ちょうどお昼どきに僕たちは家を出た。
向かった先は、ショッピングセンター。
誕生日プレゼントを買うならここにしよう、と前々から決めていたところだ。
軽く笑いながらも、僕の口角は自然と上がってしまう。
言ちゃんが!!!
あの言ちゃんがデレてる!!!!
何があったんだろう、変なものでも食べたのかな??
とりあえずバラバラで買い物をしようか、という話になったのに、二人で同じ店に入ってしまう。
僕たちは結局一緒に買い物をすることにした。
欲しいものは大抵自分たちで買ってしまうし、経済力もほとんど同じの僕たちには特別高いプレゼントは買えない。
最終的には二人とも無難な雑貨を買って、それぞれ渡した。
誕生日プレゼントの買い物はあっという間に済み、おやつに食べるケーキの材料を買って、家に帰る。
僕にとっては、今日はここからが本番。
大好きな言ちゃんのために腕によりをかけてケーキを作るこの時間が、僕にとっての至福の時間だ。
言ちゃんと二人、台所に並ぶ。
お互いにエプロンの紐を結びあって、袖をまくった。
オーブンを開け、目を閉じて鼻で息を吸う。
美味しそうな香りを感じると、いつも僕の口元は緩んでしまう。
この瞬間、本当にやめられないんだよな〜。
パシャ、と音がして振り返ると、そこにはスマホを構えた言ちゃん。
その後はポーズを決めて、とにかく連写してもらう。
あのフルーツポンチのときみたいに。
言ちゃんのカメラロールが僕でいーっぱいになるまで。
僕が笑いかけると、言ちゃんは素直に頷いて席についた。
いただきますを言ってからケーキを口に運ぶ前に、僕は一度言ちゃんの方を見る。
不思議そうに見返してくる言ちゃんに、僕は笑顔を向けた。
言ちゃんのその言葉に、僕は思わず笑みを漏らす。
やっぱり、言ちゃんは通常運転かもしれない。
二連続ですが、まあいいですよね^^
問ちゃん、言ちゃん、お誕生日おめでとうございます🎉












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!