安田さんが情報収集も兼ねて、お偉いさんへ挨拶に行ってから一向に帰ってこない。
こんなところで一人でいるのも、結構体力を使う。
そんな事を考えている時だった。
初めて、この人に名前を呼ばれた。
元気が、無い………?
この人が分からない。
朝は起きて、ご飯の準備。
それから、安田さんの服を洗って、掃除をして、お昼ご飯を食べる。
夜は少しだけゆっくりして、ご飯を食べる。
その後、バーの手伝いをする。始末屋の依頼が無い日に限るけど。
あの日から既に半年が過ぎた。
あの豪邸でのパーティーの時に何があったのかは何も聞けないままだ。
一緒に過ごしていて、最近分かったこと。
安田さんはご飯を必ず一緒に食べたがること。
依頼を片付けたあとはいつも震えながら帰ってくること。
そして、まだ政府の人間は殺っていないこと。
なぜ、貴方はそんな悲しい顔をするの?
その夜、安田さんが帰ってくることは無かった。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!