第67話

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2026/05/10 22:00 更新














数日、

家から出ていない
















ベッドの上に座ったまま、

スマホを、ぼんやりと眺める

















点けては、

同じ画面を開いて



閉じて、

また、点ける
















そんなことを、

何度も繰り返していた


























……一通だけ、残っている




















数日前のまま、

止まった画面


















   ʏɢ
📩 〈 怪我、大丈夫か? 〉 19:45





















短い一文
















もう、とっくに、

既読はつけてしまった















それでも、

返信は、できないまま



閉じたはずなのに、

気づけばまた、開いていた





















名前に触れて、

そのまま、止まる



押せば、繋がるのに

押せない



























あんな別れ方をしたのに、

こんなふうに来るのは、ずるい



















目の奥が熱くなって

瞬きをひとつして、それを押し込める






















——自分で招いた結果じゃないか







分かってる





















分かってるのに、指が動かなかった

小さく息を吐いて、画面を閉じる


























——言えばよかったんだ








それでも、

気づけばまた、画面を開いていた






















報告すればよかった

それだけだった


















でも、言わなかった






言えなかった


























……言いたくなかった
























あの場で、

名前を出す気にはなれなかった





















それでどうなるかも、

ちゃんと分かっていたのに




……結局、

全部なくなった気がした

























仕事も、居場所も、

あの家に行く理由も……

















うまく息ができない




ゆっくり吸って、吐いても、

胸の奥の重さは消えなかった

























——それでいいと思った




あのときは、

本当にそう思ったはずだった
















守れるなら、それでいいって




なのに、

浮かぶのはあのときの顔ばかりだった


















逸らさなかった視線

低い声













『なんで、そうなる』













目を閉じても、あのときの表情が

頭から離れない


















……違う




ああなるなら、

やっぱり離れてよかった




















そう思わないと、いけないのに







手が、またスマホに伸びる



さっきと同じ画面に触れて、止まる






















だけど、

そのままゆっくり手を引いた




……だめだ
























やっぱり、

私がいると壊れるから……



















そのまま、何もできずにいた



















部屋は静かで

何も起きないまま、

時間だけが過ぎていく



















それでも、

あの一文だけは、

頭から離れなかった

















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