その日の夜。
私は高校時代の友達と通話をしていた。
友達の声に苦笑する。
確かにそうだった。
事故のあと、私は高校時代の話をあまり聞こうとしなかった。
思い出せない自分が辛かったから。
だから友達も気を遣ってくれていた。
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そう聞かれて少し考える。
知りたいことはたくさんある。
友達が笑う。
思わず笑ってしまう。
それは今も同じらしい。
少しだけ安心した。
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その言葉を聞いて胸が少し痛む。
私の知らない私。
確かに存在していたはずの時間。
なのに思い出せない。
小さく呟く。
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しばらく話していると、友達が言った。
文化祭。
その言葉に少し反応する。
最近、夢でも見た気がする。
私は少し迷った。
でも。
自然にそう言っていた。
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通話を終えたあと。
友達から何枚か写真が送られてきた。
文化祭の写真。
体育祭の写真。
教室で撮った写真。
私は一枚ずつ見ていく。
どれも楽しそうだった。
友達と笑っている自分。
ピースしている自分。
だけど。
やっぱり思い出せない。
その時だった。
一枚の写真で指が止まる。
文化祭の準備中らしい写真。
クラスメイトが何人も写っている。
その後ろ。
少し離れた場所に男子生徒が立っていた。
画質はよくない。
でも。
胸が大きく跳ねる。
なぜか目が離せなかった。
顔ははっきり見えない。
それなのに。
涙が出そうになる。
懐かしい。
会いたい。
そんな感情が込み上げる。
でも。
誰なのか分からない。
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私はスマホを握りしめた。
そして友達とのトーク画面を開く。
少しだけ迷う。
それから。
写真を添付して送信した。
数秒後。
返信が届く。
私は息を止めながら画面を見つめた。
その名前を見た瞬間。
心臓が大きく鳴った。
――その文字が、静かに画面に表示されていた。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。