気を紛らわせようと海に来たのが間違いだった。
潮の匂いが鼻につく。
この相棒にも匂いが着くんじゃないだろうか。
もう10年は愛用しているであろうガラケーを開いて時間を確認する。
深夜2時10分。
約束の時間は2時半だからまだ間に合うだろう。
潮の匂いが鼻に慣れていくと
愛しの弟の顔が頭に浮かんでくる。妹の顔は……思い出せない。
そもそも母の顔さえあやふやだ。
昼夜構わず街を練り歩き喧嘩してたから当たり前といえば当たり前だが。
けれど血の繋がりが無いので今会ったところで1mmも情が沸かないだろう。
それはイザナも同じだと思う。
そんな血の繋がってない他人の話は置いといて
愛しの弟との思い出でも堪能しようか。孤児院にいた時も可愛かったな……
そうして俺は目を瞑る。
いやぁ、あの時の俺
思い込ませの仕方雑すぎだよなぁ。
イザナが幼かったから騙しきれたけど。
まぁ結果はどうあれとイザナが俺にもっと構ってくれたきっかけだ。
って言ってもイザナはあの後信じきれてなくて真一郎と一緒に過ごしてたが。
けど真一郎ガイザナに追い討ちかけてた時は笑ったなァ……
マ、そのお陰で俺はイザナと一時的に一緒になれたからいいんだが。
はぁ……イザナが少年院でてから一回も会ってねぇなぁ……
一応こっちの情報網使って調べてはいるんだが避けられているのだろうか。
けどそうだとしたら何故避けられている?あの件は解決した筈だ。
鶴蝶との関係も認め、鶴蝶との仲も良好だったハズ。
イザナの我儘は基本聞いてやったし、喧嘩した時の後処理もしてやった。
少年院の時に集めてたらしい仲間も俺のところに来ない……
確か名前は
灰谷蘭
灰谷竜胆
武藤泰宏
望月莞爾
班目獅音
…………やっぱり周りでそんな名前は聞かない。
灰谷蘭と灰谷竜胆は六本木灰狂戦争で一方的に知っているが。
薬を使ってイザナを手に入れるのもいい案だか
やはり体壊れて閉まったら使い物にならない。それなら心中が最適だろう。
ケータイを開いて時間を確認する。
2時25分。
やばいかもしれない。
俺は直ぐにバイクに飛び乗った。
ここから約束の場所まで飛ばして10数分ってところだろう。
俺は急いでバイクを走らせた。
顔にふりかかる潮風はひんやりとしていて10月中旬の今だと寒いくらいだ。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!