剣持 side
最近エスカレートしている校内での嫌がらせ、今日はその現場を見てしまった。クラスの弱そうなアイツ、最近反抗してきたアイツ、その全員の下駄箱に画鋲を仕込んでいるところを見てしまった。
朝から嫌なもん見ちゃったわ。さっさと朝練行っちゃおっと……、ローファーを置いて、上履きを履いて、よし、行くか。
三枝 side
まゆゆがこの世から消えて、気づけば3日くらいは経っていた。と、思う。
俺は抜け殻のように、この世の全てが下らなくなって、日々無駄なことに息を浪費している。
時間の感覚もあの時から消えていた。
死ぬ、という選択肢はないものの、どう生きていいかわからないのだ。
ぽっかりと空いた穴は今も塞がらない。あのメッセージはなんだったのか。水晶って、何?俺にはわからないことがあるんだ。もう少し、死なないようになんとか出来たんじゃ、あと少し、上手く出来れば……!
言語化不可能な感情が、俺の心の中を占拠した。
講義が終わり、人が少なくなった構内に、黄色い歓声が響いた。俺には雑音にしか聞こえないが、どこか聞き覚えのある声と雰囲気が近付いてきている気がした。
コルク色の一つで結んだ髪、黒色の整ったシャツ、柔らかい口調と甘い声は、落ち着いた声色で自分の名を呼んでいる。そこに立っていたのは、かなかなこと、叶さんだった。
同僚である彼は、後ろにきゃあきゃあと騒ぐ女子を引き連れて手招きをしている。おーい、明那ー?と呼び続けている。なんでここに??
敵意と羨望の目が自分に向くのが分かった。普段なら嬉しいけど、今はちょっとやめて欲しいかな……
嫌だぁ…大学サボりたい…絶対『あのカッコいい人誰!?』とか『どういった関係性なの!?』とか『あの人の連絡先教えて!!』とか言われるに違いないよぉ……
は?
は??????(人語を発することが出来なくなった)
でろーん先輩が俺のフードをむんずと掴み、そのまま引っ張っていく。やっば、めっちゃカッコ悪いじゃん!?ここ俺が通ってる大学なのに!!
その日の大学は、一日中騒がしかったそうな。
NJU歌謡祭に向けて心を錬成してます(?)












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!