第13話

Annyeongz 3
573
2022/02/09 11:08
ユジン
ユジン
結局年下におつかいですね。





おつかいというかパシリ、だな。これは。




ミンジュ
ミンジュ
負けちゃったのはしょうがないからね。それに、ああいう場は盛り上がって楽しいし。





『ジャンケンして負けた人がアイスおつかい』





ダンスレッスンの休憩中に提案されたのをきっかけに始まったジャンケン大会。





負けたのは私とミンジュオンニ。
一人は流石に大変だからともう一人を付き添いに。




ユジン
ユジン
ざっとこんなものですかね。
ミンジュ
ミンジュ
うん。それでいいと思う。



















会計を済ませてコンビニを出た瞬間、どこか見覚えのある人影を見た。





あぁ、あの人だ。





すぐにそう思った。
多分あれは山の方向だろう。また登るのだろうか。あの急斜面を、あの長い階段を。




ミンジュ
ミンジュ
知り合い?





ミンジュオンニの声ではっと我に返り、また空間が動き出す。
セミの鳴き声がさっきよりも五月蝿く感じる。




ユジン
ユジン
…いえ。見間違いだったようです。
ミンジュ
ミンジュ
そう?





不思議だ。見ず知らずの人に対してこんなにも興味をそそられるとは、どうしたものか。




ユジン
ユジン
はい。さ、早く行きましょ!オンニ達にまた小言言われちゃいますし。
ミンジュ
ミンジュ
だね 笑





アイス、溶けないといいなあ。













『今日のレッスンが終わったらあの山に行こう』





好奇心がこんなにもそそられるとは思ってもみなかった。
それに、今日のレッスン中もずっとあの人のことが気になって仕方がなかった。





流石にそわそわしすぎたのか、オンニ達からも心配された。




ユジン
ユジン
…いた。





居る。あの人が。





それは、長い旅路を経た末にようやく見つけた財宝かのように思えた。





また影に潜むように佇んでいる。
その姿を見てようやく安堵した。まだ消えていない、と。





相手もこちらに気付いて、会釈をしてくれた。
それを合図にこっちから近付いてみて、




ユジン
ユジン
こんにちは。





少し勇気を振り絞った声に、相手も潔くこんにちは、と返してくれた。




ウォニョン
ウォニョン
もしかして、先日いらっしゃった方ですか…?
ユジン
ユジン
あ、そうです。





はた、と目が合った。





どこかで見た顔。





私は、この顔を知っている。
けれど、上手く思い出せない。




ウォニョン
ウォニョン
ここの景色は綺麗ですよね。私、好きなんです。
ユジン
ユジン
私もそう思います。





なんだろう、この違和感は。
なんだか、こんなこと前にもあったのでは…?




ユジン
ユジン
いつも、来ているんですか?
ウォニョン
ウォニョン
はい。
ユジン
ユジン
凄いですね。あの急な坂道といい、少しキツくて…
ウォニョン
ウォニョン
分かります。でも、それも含めて私はここを気に入っているんです。





大層変わった人だ。それほど思い入れのある場所なのだろう。




ユジン
ユジン
あの、また来てもいいですか?





変なことを口走ってしまったのは分かってるけど、____まだ私の呼び起こされていない記憶と共に____それ以上に彼女のことが気になった。




ウォニョン
ウォニョン
ふふ、もちろん。私はいつでもここに居ますよ。





快い彼女の返答を聞いて、また胸が疼いた。




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