あの日、家に帰ってきた彼にわたしは
おかえりなさいを言うことも忘れて
とある質問を彼にぶつけた。
彼はようすのおかしい私に気づいたのか、
帰ってかけられた最初の話題が
急すぎて不思議に思ったのか、
ちょっと不信な顔をして小首を傾げた
口にした瞬間目をそらされたので、
この時点でとっても悪い予感がした。
いつもの無表情なら、まだよかった。
ただ、目を逸らした彼があまりに苦い顔を
するのもだから。
私の心臓が音を立て、喉が引きつった。
私が子どもを欲しがってると思ったのか、
”そーゆー行為”をしたいと言ってるように
思われてしまったのか。
”人気プロヒーローのショート”は私に背を向けた
ヒーローは私を置いて、部屋に帰ってしまった
パタン、と扉の閉まる音が私の耳に反響して
やけにこびりついた。
…悪い聞き分けてくれ?…なにそれ。むかつく。
私がわがまま言ったみたいな、悪者みたいに
言ってくんのむかつく。むかつく!
じわりと浮かんだ水滴をごまかすように、
ソファにあるクッションに勢いよく頭を沈めた
後ろで握られ、隠されていた妊娠検査薬が
私の手の中でミシリと音を立てた。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。