艦長である夏油の指示で「たかなみ」艦内の全員が対衝撃体勢を取ったにも関わらず、ゴジラの放射線の砲撃が隣の海面に弾着したとき、何人かが転倒した。
転倒した隊員を助け起こしながら、艦橋で夏油についていた梶は絶望した。
船がひっくり返りかねないほどの砲撃。それを放てる生物に対抗できるわけがない。
日本は今日終わる。そう梶が思ったそのとき、
太平洋沖で残存個体の捜索に当たっていた最新鋭護衛艦「まや」を旗艦にした殲滅艦隊は「こんごう」型4隻、「あたご」型2隻、「まや」型2隻、航空機搭載型護衛艦である「いずも」型、「ひゅうが」型共に2隻、多機能護衛艦「もがみ」型6隻、潜水艦「そうりゅう」型12隻、「たいげい」型3隻の計33隻で構成されており、海上自衛隊の文字通り全戦力を投入した前代未聞の編制となっていた。
勝星の報告と同様の通達が水上の全艦から入ってくる。出戻りの自分が慣れない海自でどこまでやれるか、飛燕自身も楽しみなところだ。
海自独特の発音で撃ち方始めを指示すると、ゴジラの左上腕に照準を合わせ、あらかじめ旋回していたイージス艦それぞれの最大口径火器が火を噴いた。
夏油に再度対衝撃体勢をしじされた数秒後、目の前でイージス艦の砲撃によりゴジラの左上腕が吹き飛んだ。海面に叩きつけられた巨大な腕の衝撃でたかなみが揺れる。
夏油の指示で操舵員が素早く舵を切り、艦をゴジラの側から離脱させる。怒ったゴジラは殲滅艦隊の方へ向かったようだ。
最前線で領海を守る護衛艦や潜水艦には、ほとんど防衛隊独自のカスタマイズがされている。もちろん具体的な内容はまるごと防衛機密だ。
ゴジラから遠ざかりながら、梶は殲滅艦隊の無事を祈った。
ゴジラの左上腕を吹き飛ばし、航行しながら攻撃を続行しているという報告を聞いて、遥斗は飛燕の手腕に舌を巻いた。元々戦闘機乗りだったなどと誰が思うか。
聡雪の言葉に頷いて同意する。まさか実戦経験ゼロのイージス艦に乗せてみたら初手からゴジラの腕を吹き飛ばすとは。
遥斗が問いかけると、聡雪はモニターに目を移した。そこには三部隊に分かれてゴジラの砲撃を封じつつ、潜水艦の魚雷やイージス艦の対空ミサイルを駆使してゴジラを消耗させる殲滅艦隊の姿があった。
最前線の様子を逐一確認しつつ対処を指示していると、司令員が一人駆け込んできた。
その伝令に、司令室が沸いた。

↑まや
ねーかっこいい。最近はいふりに作者がハマったので衝動的に書きました。ので短いです。





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!