⚠️あてんしょん⚠️
・『地獄の鬼神様は一人の獄卒にベタ惚れです』と同じ世界線のため、鬼灯の想い人(名前なし見た目なし)が出てきます
死者は、
少し震える声であなたの名前を呼ぶと、彼女は微笑んで振り返った。
必死に伸ばした手は届くことなく——
そこで、目が覚めた。
彼女へ伸ばしたはずの左手は天井へと伸ばされており、先程のことが夢であることを確認する。時計は午前7時を指しており、二度寝しようとも考えたがそんな気にはなれない。
不安に思い、携帯であなたに電話をかける。
何度かけても出る気配はない。彼女なら1回、遅くても3回かければ出るはずなのに。
店を飛び出し、あなたの店へと向かう。店の鍵閉めたかな、なんて事すら頭に浮かばなかった。
店のドアを必死に叩くが、返事はないし明かりもつかない。自分と違って早起きの彼女なら、この時間には店を開けている。
静寂に包まれ、自分の体温が下がっていくのが嫌と言う程よく分かった。
白澤の予想に反し、あなたは地獄で鬼灯に商品を渡していただけだった。
それを聞いて眉を顰める鬼灯だが、すぐに表情を直す。
言われた通りあなたが下がると、
鬼灯の投げた金棒が、それはそれは綺麗に白澤に当たった。
そして案の定言い争いが始まる二人。呆れた目でそれを見るあなたはもう見慣れたようだ。
あなたが一言言った瞬間、白澤は驚いた顔で彼女を見る。
思い切りあなたを抱きしめる白澤と、ただひたすらに困惑しているあなた。そしてそれをなんとも言えない目で見ている鬼灯。色々とカオスな状況である。
普通死者は閻魔大王に判決を言い渡され、自分の足で天国、もしくは地獄に行く。だが彼女はそうではない。
壁にめり込んでいる白澤を横目に、あなたは苦笑いで答える。流石に自分もああはなりたくない。
あなたの姿が見えなくなったのを確認して、白澤は鬼灯の方へと振り返る。
白澤は鬼灯に対してそう忠告した。目を金色に光らせ、殺意をむき出しにしながら。
そう言っていつもの笑みで戻っていく白澤の背中を見つめ、鬼灯はおおきくため息をついた。
耳のいい獣に聞こえないような、小さな呟きとともに。
極楽満月に着くと同時に、桃太郎がいるにも関わらずあなたを抱きしめる白澤。抜け出そうとしてもできず、十数分間人形のように動けなくなっていた。
白澤がへばりついていない右の手で湯呑みを持ち、心底面倒くさそうな表情でお茶を飲むあなた。そんな彼女を気にせず白澤はあなたの肩に顔をうずめ、消え入りそうな声で呟いた。
一気に上機嫌になった白澤と、解放されて両手でお茶を飲むあなたを、桃太郎は死んだ魚のような目で交互に見つめる。
あなたが出してきたさじは、白澤が普段使っているものと全く同じ。他の道具も幾つか見せてくれたが、全て白澤と同じ物だった。
ちらりと自分の師の姿を見ると、彼の笑顔の下の黒い気持ちが見えた気がした。
あなたは、ひとつ勘違いをしている。彼女は「生まれ変わるのに白澤の許可はいらない」と思っているが、実際は、生まれ変わるには白澤の許可が必要不可欠なのだ。
理由は簡単、昔あなたの虚弱さを心配した白澤が、彼女の食事に神気を少し混ぜていたから。
呪いとして使っていたその手も、使い方を変えれば呪いになる。
死者は、いつか必ず生まれ変わる時が来る。しかし、それはあくまでも「普通なら」の話で。
白澤と長い間共におり、彼の呪いをその身で受け続けた彼女だけは、話が別なのである。

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!