いつか見た影法師
私は貴方の背中しか見たことがなかった。
遠い、遠い日の思い出は__
春が過ぎ、夏が来て、
時が止まることもなく、記憶が色褪せることもなく
『__』
わかっていた、はずなのに
どうしても忘れられずに、”あの日”から
止まったままの私の手の中の時計。
いつか、夢が終ると分かっていても
全て、無駄になってしまったのか
時は進み、戻りはしない。
だから私もいつまでも独りなのでしょう_
貴方が過ごしていた世界の時計は
私には少し早すぎて、
やがて秋も過ぎ、冬が来て
時代は移ろってゆくのでしょう
記憶の中の貴方はいつも、いつまでも泣いていた。
離れないように、いかないように、
しっかりとその手を掴んだはずなのに。
また1つ1つと消えてゆく
、、、分かってたはずなのに。
私の__俺のせいなのに。
それでもいつか来る、と思っていた別れが解らずに。
[ ど こ に も な い の ]
[ き え て し ま う の ]
あの日、ここで約束したの。
帰ってくるはずなの。
なんで、還ってきちゃったの?
日本へ
私は世界から切り離されているのだろう。
仲間はもうみんな降伏してしまった。
でも、独りの私にも、まだ出来ることはあるはずだから。
だから、何度季節が変わったとしても、貴方だけは笑顔でいて___。
紅い紅い、カランコエの華を添えて。
父上へ
この手紙が貴方に届くのなら
ずっと、明日も、その次の日も。
見守っていてくださいね。
雛菊を添えて。
そんな願いを風にのせて。
遥か彼方へと飛んでゆく。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。