これは、Dreamcoreが黒く飲み込まれてから
少しあとの話。
黒天使の頂点に立った彼女、イチはふらりと、青々と茂った芝生と嘘みたいな青い空の下を歩いていた。
もちろん、迷い込んだ人間を殺すために。
今日も既に3人弱は殺して取り込んでいた。
殺すと取り込まれる者と、怪物のような見た目になったり黒天使の仲間として生まれ変わる者がいる。
そのような人間はだいたい人間に対して恨みを持っていたり、過去に何か抱えている人間が多い。
……彼女はまだ何も知らないようだが。
鼻歌を歌いながら気ままに散策していると、一人の人間が目に入った。
髪が雑なショートに切られていて、赤いヘアピンで雑に前髪をとめている。そして、切れ味の悪いハサミで切られたかのようなズタズタのスカートを履いていた。
睨むようにイチを見つめた”彼”は、虚ろな目をしていて、体のあちこちに赤いものが飛んでいる。
彼は口角を僅かに上げ、自分の手のひらを見つめた。
草地に座り込む彼に目線を合わせるように、イチは座り込んで心にもない言葉をかけた。
黒い泥を足元から湧かせ、彼を手にかけようとした
草地に倒れ込み、全てを投げ出すように彼は笑い始めた。
この原色で塗りつぶしたような青空よりも、清々しく
空に手をかざすその姿は充足感に溢れていた。
イチはにっこり笑い、彼を泥で巻いた。
最後に残っていた空の雲が、彼の心を表すかのように姿を消した。
赤いヘアピンをさし、黒い学生服を身にまとった彼が目を細め微笑んだ。
この場所がいくら歪んでいようとも、
彼にとっては豊かな環境であることは間違いなさそうだ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!