8月下旬、俺が載るanan発売日前日の夜
いつものようにあいつとマリオカートをしていた。
「奢ってやる」
なんでこんな事を、しかも軽々しく言ったのか分からない。
そんなに本気ではなくて、ただ何かを賭けて楽しくゲームをする為に言ったのか?
本当に分からない。
ただ、その日あいつが俺に勝つ事は1回も無くて
良い加減勝てよ!と思ったのは、嘘ではない…
9月最初の日曜日
この日、マスターが組合の飲み会で不在の為ナン大門に出勤したら
久しぶりに会った山田くんに、そう言われた。
そう言うと山田くんは
カバンから何かを取り出して私に渡した。
明らか可愛い小袋に入れられたマドレーヌなんですけど…
そんな話をしていると
店のドアが開いた。
ナン大門に入ってきたのは
ヒラくんだった。
山田くんはゲームもするしゲーム動画も見るし
特にヒラくんやフジくん、最俺関係の動画は良く見てるって言ってた。
だから、ヒラくんやフジくんにはよく懐いてて
会えると嬉しそうにする。
普段はポーカーフェイスなのに。
ヒラくんの注文が終わると
山田くんはまた嬉しそうにヒラくんに寄って行った。
と言って山田くんは、雑誌や新聞が置かれてる本棚を指した。
私は2人が喋ってる横でananをめくり
ゲーム実況 キヨのページを探した。
そして
丸い椅子の上に膝を立てて座る襟足の赤いその男を見て
私は思った。
私は最俺の実写は一度も見た事がない。
興味があるゲーム動画しか、見ない。
確かに、このページに載ってる人に似た
襟足の赤いお客さんがいる。
牛タンが好きな、あのお兄さん。
一緒に鳥源に行ったのも
そこで私の悩みや愚痴を聞いてくれたのも
パーカーを貸してくれたのも
マリオカートで散々私をいじめてるのも
最俺のキヨさん、なの、、、?












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。