第2話

永遠にあなたのもの
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2026/01/03 23:00 更新
   北斗side




恋愛小説の主人公は、




どんなに喧嘩しても、


どんなに距離が離れても、




結局最後には結ばれて、


辛い過去の記憶もかき消すくらい幸せになっていた。







あの頃の俺は、

ただ純粋に京本のことが好きで、



好きでい続ければいつかは結ばれると思っていた。





あの頃は本当に幸せだった。


心の底から笑えていたあの頃が羨ましい。





中学生に上がった途端、


京本との接点は一切無くなった。




クラスが違う。


教室の階も違う。


部活も違う。


委員会も違う。




あの小説みたいに、


一度距離が空いてから今まで以上に距離が縮まる、


なんてことは、当たり前のように起こらない。





京本のLINEのプロフィールの背景画像を見て、


心臓が凍りついた。




そこに設定されていたのは、


新しくできた京本の友達らしき人物が2人と、



かつては自分に向けられていた、



太陽のように眩しい笑顔の京本の写真。




そして、゛大好きな親友とカラオケに行ってきました。

また3人で行こうね!!゛の文字。



゛3人で。゛


その親友の中に俺は入っていない。





正直、悔しかった。




小学生の時は、


自分が一番京本と話している自信があった。


自分が京本に一番信頼されている自信があった。


自分が京本と一番仲が良い自信があった。



それなのに。






中学生になった途端、それは全部過去の話になった。




一番京本と話しているのも、信頼されているのも、

仲が良いのも、今では全部俺じゃない。








そういえば最近は、



心から笑えなくなった気がする。




前なら素直に笑えていた友達との会話も、



あの頃だったら京本ともこんな風に笑ってたのかな、


なんて思うと、どうしても素直に笑えなかった。







それでも場の空気を壊したくないから、


前より何倍も上手くなった愛想笑いで、


今日も本心を隠してる。






前はそこまで泣かなかった小説でも、



今ではどの場面を見ても泣いている。




悲しい場面なら、今の自分と重ねて泣く。


嬉しい場面でも、今の自分と比べて泣く。





抑えきれない感情が、



段々壊れて麻痺していくみたいだった。











ねえ、京本。






俺の感情、返してよ。



俺の恋心返してよ。



俺の初恋返してよ。





俺が異常なのは分かってるけど。



依存してるだけだって分かってはいるけどさ。





京本のことを考えていると、



気づけばいつも、



頬が涙で濡れている。














あんなに大好きだった小説も、



今はただ、恋は小説のようには上手くいかないという、


受け入れたくもない現実を突きつけてくるだけだった。






それでも。




どんなに頑張って前に進もうとしても、


結局この気持ちを捨てることはできなくて。







俺の感情も、恋心も、初恋も、



あの日奪われた時から、






永遠にあなたのもの。















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