迷いの竹林の奥の闇病院________
永遠亭______
しのぶたちが到着し、妹紅の案内で室内に入る。そして、和室に入るとそこには頭にうさ耳が生えている1人の少女がいた。
その声に鈴仙が振り返る。
そして、その目に入ってきたのはしのぶとカナヲの姿だった。
軽い足取りで近づくと、鈴仙は興味津々といった様子で、しのぶの顔を覗き込んだ。
しのぶが困惑しながら問う。
すると、鈴仙は耳をピョコピョコさせながら返した。
そう言って、鈴仙が指を指した方向には宇髄がいた。
宇髄は永遠亭にいるウサギを眺めていた。
しのぶは笑顔で少し小馬鹿にしたように言った。
永琳がしのぶの後ろにいつのまにか立っていた。
永琳の言葉のどこかに小馬鹿にしたような気を感じるしのぶは永琳のことを静かに睨んでいた。
それを、見ていた妹紅は呆れながら呟いた。
2人がオラオラ…と話していると、離れていた宇髄がしのぶの横に立つ。
宇髄の質問にしのぶはレミリアのことを見て、微笑みながら言った。
しのぶが挑発的に言い放つと、レミリアの紅い目が殺意を剥き出し、しのぶを睨む。
その瞬間空気が、一瞬で張り詰めた。
しのぶが刀に手をかける。
咲夜がレミリアとしのぶの間に割って入りながら言った。
2人はお互いのことを睨んではいたが、その場は一旦静まった。
さとりが2人を見ながら、ため息をつく。
そして、永遠亭の廊下の張りつめていた空気が、ようやく少しだけ緩んだ。
投げやりとも取れる声を残し、妹紅は踵を返した。
鈴仙が意外そうに声をかける。
そう言って歩き出した妹紅の背に、かすかな気配が寄った。
控えめな声。
妹紅が振り返ると、そこにはカナヲが立っていた。
言葉は声は聞こえなかった。ただ、カナラは静かに頭を下げた。
_____ペコリ。
一瞬、妹紅の目が見開かれた。
当然だった。今まで一言も話さなかった少女が話しかけてきて、自分に頭を下げたのだから。
それを見た妹紅はニヤッと笑い、照れ隠しのように口角を上げる。
それだけを残し、妹紅の姿は炎が掻き消えるように消えた。
妹紅の姿が消えたのを確認したカナヲの後ろからこいしが乗っかって話しかけてくる。
こいしの言葉にカナヲは少し、沈黙し小さく返した。
カナヲの発言にこいしは全く興味なさそうに返した。
そして、妹紅がいなくなり残された場は少し静かになったが、そこにしのぶの小さい息が聞こえた。
今のしのぶの目は怒りよりも、疲れの方が目立っていた。
そんなしのぶに聞き覚えのある声が聞こえた。
冨岡が首を傾げながら尋ねる。
しのぶが何の疑問も持たず答える。
しのぶが答えた瞬間、レミリアが目を見開いた。
真後ろに立っていた冨岡の存在に驚いたレミリアは冨岡に怒鳴り立てる。冨岡はそれを真顔で聞いていた。
その間に咲夜は、どこか恍惚とした表情で心の中だけで呟いていた。
それを見ていたこいしが無邪気な声で言う。
咲夜が慌てて顔を覆った。
そんな時、レミリアの怒号には耳を貸さず、宇髄が冨岡に言葉投げかける。
冨岡は淡々と語り始める。
・・・。
一瞬の間。
本当に、ただそれだけの説明だった。
全員の頭にハテナが浮かんだ。
レミリアは眉をひそめる。
永琳は静かに目を細める。
咲夜は冷静に分析する。
鈴仙は思わず声に出しそうになる。
そして。しのぶは小さく息を吐いた。
冨岡は、その視線の集中に気づいているのかいないのか、ただ真顔で立っている。
むしろ、不思議そうに問い返す。
その一言で、空気がさらに重くなった。
レミリアが額を押さえる。
即答で言うが。全く、答えになっていない。
宇髄が鈴仙や永琳から聞いた話を丁寧に説明する。
全員。
(いや、そういう問題じゃない!!)
しのぶはため息をつきながら、目を閉じる。
だが同時に。
ほんの一瞬だけ、胸の奥に別の感情が灯る。
冨岡は何も考えていない顔で、ただ一言。
その声音だけは、少しだけ柔らかかった。
冨岡の顔には、本気で理解できていないという疑問符が浮かんでいた。
宇髄が肩をすくめる。
さとりが淡々と補足する。
それは擁護ではなく、事実だった。
こいしがくるりと回る。
フランは腕を組み、即答した。
その言葉を聞いた冨岡の眉が、わずかに動いた。
本人の中では、きちんと会話しているつもりだった。
フランが即座に睨み返す。
落ち着いた姉妹のやり取りに、空気が少しだけ緩む。
その時、咲夜が一歩前へ出た。
レミリアは指先で顎をなぞり、ゆっくりと目を細める。
視線が横へ滑る。
その瞬間。
レミリアの口元が、にやりと歪んだ。
獲物を見つけた吸血鬼の笑み。
それを見たしのぶの視線が、鋭くなる。
それを見たカナエがレミリアの耳元に話しかける。
ふわふわとした声だが、明らかに警戒と心配をしている。
カナエのその反応にレミリアは楽しそうに肩を揺らす。
レミリアの顔はその瞬間、まるで悪魔のような瞳と歯を見せていた。
だが、後ろではさとりが一歩引いた。
さとりは小さくため息をつき、目を閉じた。
拒否権は…ない!!________


























編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。