第3話

🍵
765
2025/04/03 16:47 更新


  ホタルビの中の自室に入って、
伯玖さんに購入していただいた怪異薬の蓋を開ける。
  ピンク色の液体を、右手の内側に塗ると、
一瞬で私の傷は消えてなくなった。


あなた
… きえ、ちゃった、


楽なものだ。

怪我をしてもこんなに一瞬で治るというなら、
これを頼りに怪我しやすくなる人もいそうだな。

なんて考えながら、
傷一つなくなった右手を見る。

あなた
………


私の生きてきた証が、どこにもなかった。

傷も痛みもなければ、
私は本当に生きている実感がわかなくなる。

  怖い。死ぬのが怖い。
痛いのも嫌い。

あなた
……… わた、し、
あなた
ぜんぶ、こわい………







夢を見る。

父の、夢を。


____。


気持ち悪い。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

今にも吐いてしまいたいくらいなのに、
私が「やめて」と言ってもやめて貰えなくて。

  痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

こうすると気持ちいいだろ?


首をぎゅっと、大嫌いな手で絞められて。

あなた
( しにたくない )



助けて、おかあさん。


__ああ、お母さんは私の事、嫌いなんだった。








あなた
………
一般寮生
お。今日早いじゃん、おはよー。
あなた
…… う、ん、おはよー!



翌日いつも通りに学校に行くと、
驚くくらいに普通だった。

あなた
( 伯玖さん、私の事、
誰にも言わないでくれたんだ )


もしかしたら、朝起きたら皆が私のことを知っていて。
気持ち悪がられたらどうしよう、
なんて嫌な想像をしていたけれど。

  どうやらその心配は杞憂に終わったらしく、
心の中で伯玖さんに感謝を告げる。

あなた
( 優しい人なんだな )


今度、菓子折りでも持っていかないと。

私はそう思いつつ、普段の日常に溶け込んだ。


あなた
( …… あー、 )
あなた
( 生きてる実感、ないなぁ )

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