第37話

6,嘘
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2024/02/19 13:35
「…。」
その場にはランダさんと彼氏さんしかいないので、アリバイがない。
喧嘩をしたと言う点から犯罪を犯す理由もある。
でも、今聞いた内容が合ってるのであれば彼氏さんが殺しを行うのではなく彼女さんが行いそうな状況だ。
仕事ばっかに集中し、自分のことは放りっぱなし。かなりのストレスは溜まっていただろう。
「他に家族とか、最近会った人とか教えてください。」
「俺は、ランダのことよく知らないんだよ。最近はずっと深夜に帰ってきえったから…。」
早朝に出て、深夜に帰ってくる。ということは昼に何をしているのかは誰も知らないということだろうか。
「仕事場は?」
「ランダは仕事してない。」
「…お金はあなたが?」
「あ、はい。」
まだ付き合っている過程なのに夫婦みたいな生活をしている。
「…あなたたち夫婦なんですか?」
「…今更気づいたんですか?」
ドゥーゴがフフッっと嘲笑うように話しかけてきた。
「やっぱり、あなた本当に探偵ですか?」
「…?」
「この事件は全部嘘です。」
(ん?…んー?はい、うざい。)
全部嘘って、この人が死んでいることから何もかも全てが嘘だということだろうか。
でも、この人完全に死んでるんですけど。
私は死体をあらゆる方向から見ている。もしかしたらこれは本物の死体かもしれないので触らないようにはして。
「これはただの人形ですよ?…王が作ってくれたんですよ。」
ドゥーゴは死体(人形)の髪の毛を持ち、全身をあらわにした。
下半身は見せるつもりなかったのか、何一つも手入れしていない完全なる人形だった。
でも、周りの街の人はどうなのだろう。死体があると思って集まってきたのではないだろうか。
いや、違う。さっき王に作ってもらったといっていた。これは国全体に騙されていたのだ。
「なんでこんな手間のかかることを?」
「…だって信用してないもん。新しい王様を?」
「…?」
「分かってないようだからもう一度言ってあげるよ。」
「ダルン王だっけ?この国はその王のこと信用してないから。」
つまりこうだ。ダルンから探偵を派遣すると言われたこの国の王。
前の前王のことは信頼していたが、新しい王となるとそんなに話したこともないので信頼度は0。
探偵を送り込んでくるのではなく、殺し屋などを忍ばせてこの国を滅ぼすつもりなのではないかということだ。
なので、本当に探偵なのかを調べるためにだけにわざわざ人形を作り、民に演技を覚えさせるという努力をしたということだ。
でも、王の考えは合っている。私は探偵ではない。貴族だもん。
ずっと家の中でのんびりしてた貴族だから。こんな事件なんかに連れてこられても、人並みの考えしかできない。
うん、嘘なんて全く気づかなかった。というか、こんなストーリーを作るってどんだけ頑張ってるの?
「…はぁ、ダルンめ、私が悪役になってるんだよ、テメェの信頼度のせいで!」
(ダルン様は信頼できるお方です、私は探偵と言ってもそんなに脳があるわけではないので。)
なぜか思っていることと話すことを真逆に話してしまった。完全に貴族って言っても信じられなくなってしまった。
しかもこれ、もしこの国の信頼を掴んだとしてもダルンクソに怒られるだけなのではないだろうか。
これは嘘をついて弁解するべきなのか本当のことを言うべきなのか。
「…あの大馬鹿野郎はさぁ、私のことなんだと思ってるんだよ!探偵?いや、違いますぅー貴族なんですがぁ!?あーうざいったらありゃしない。私のことなんだと思ってるの?英雄の娘ですよ?一応、英雄ドゥダルの娘ですからね!?」
私は思っていること全てをこの場で吐いてしまった。
もう、後退りはできない。というか、自分の国の英雄なんて言ってもこの国の人たちには刺さりもしないのでは無いだろうか。
「ドゥ、ドゥダル…、英雄ドゥダルの娘!?」
ドゥーゴは目を見開いて驚いている。周りの探偵も皆、驚いてる。
「いや、違う。“あの人“は自分の娘は金髪で瑠璃色の目をしているって自慢をしてた。」
そういえば今、私はウィッグとアイコンタクトをしているため、黒髪、赤目だ。
私はその言葉を聞いた瞬間にウィッグとアイコンタクトを外した。
「…え?、、本当に?本当…いや、金髪で瑠璃色の目を持ってる人なんてたくさん…、、その国ではいないから、、本物?」
ドゥーゴはまたもや目を見開いている。なんでかわからないが、名を知っているようだ。
「なんてひどいやつなんだ、ダルン王は。」
(うん、今の聞いてたら普通そうなるよねー。)
やばい、失態を犯してしまった。このままではダルン王を認めてくれず、もう一生あの国に帰れないかもしれない。
瑠璃十川村と、暗闇の森に入れないのは本当に困ったもんだ。
他のところには別に行きたくもないけど、けど、あの国に入れないのは色々とまずい。
「…この国に事件が起こったのは嘘なんですか?」
一番大切なのはこれだ。もし、事件がないのならば一生帰れない可能性もある。
「いや、…事件が起こったのは事実です。」
「じゃあ、じゃあ!その事件、私に解かしてくれませんか!!」
「ダメです。」
ドゥーゴは私の問いに即答した。
「ドゥダル様の娘というのが本当なのであれば、絶対に殺人現場になんか連れて行けません。」
そうだろう。なんか話している雰囲気から父、ドゥダルは尊敬の人や、命の恩人並みの思いを感じる。
そんな大切な人の忘れがたみの娘ともなれば、守らなければならないと普通思うだろう。
でも、ドゥダルは確か16歳だと言っていたような気がする。
もし、16歳なら父が死ぬ前の最高の年齢は6歳。6歳でもし命を救われたとしても、命の恩人の娘まで助けようと思うのだろうか。
「あなた16だよね?いつ父と会ったの?」
「え…、?3年前ですけど?」
「…え?」
「何言ってるんですか?ドゥダルさんはこの国の兵士になったじゃないですか。」
意味がわからない。3年前?父は10歳の時に死んだはずだ。
しかも、この国の兵士になっているはずがない。あの父が、私に母に何一つ言葉を置いていかないでいなくなるはずがない。
あの優しかった父は、…世界の誰よりも人を想う力が強くてそして、誰よりも
“家族思いだった“
…なんか、設定があやふやです。記憶ナッシング。
父が死んだのって10歳の時であっとる?
やばいよぉーマジでわからない。
これ、うちの小説です!!なんと、こっちの物語で一回も紹介してないって言うね!
こっちの方が記憶しっかりしてるし、何より頑張ってるから!!

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