嘘。睡眠薬を7粒ほど服用したけれど、やっぱり悪夢のせいで何度も起きて寝られなかったのだ。
父さんも言ってくれたんだ。ここは頑張らないと。
一体、いつになったら誤解がとけるのだろうか。
着いた場所は、例の物置き部屋。
ここには、少しだけトラウマがある。入りたくなかったが、今更逃げられないので大人しく入る。
入った途端に聞こえるは、聞き覚えのあるネットリと響く甘神さんの声。
彼女の低い声に、震えずにはいられない。
すると彼女は懐からカッターナイフを取り出した。
そして、彼女は自分自身の皮膚を切った。
彼女が絶叫すると同時に、たくさんのライバー達が入ってくる。
こういうの、なんて言うんだっけ。
カッターキャーだっけ?
ドカァァッ!
そのとき僕は、腹を思いっきり殴られた。
ライバー達は、甘神さんを囲んでどこかへ行ってしまった。
僕はまた嘘をついた。罪悪感がその度に増えていく。
▷最近顎って体調大丈夫か?
▷また体調崩した?
▷頻度落ちてね?
▷おーー、休めたか?
▷元気なんだな、なら配信しろ
▷へぇ、元気になったんだな。ならボイスだせ
▷頻度早く戻してくれ
▷供給はよ
▷せめて配信早く
▷ボイスは出せ
▷そろそろ歌みた出してくれや
▷ん?なんだ今の間は?
▷どうした?
▷まだ体調悪いか?
▷無理するなよ
▷え、刀ピーやんけ!
▷マジで!?
▷唐突の刀ピー助かる
▷やっぱ刀ピーorピー刀よ!
▷いい話やん
▷心配してくれる人がいるのはいいことだねぇ
▷あ、ピー刀だったかも・・・
▷確かにちょっと過保護かもw
寂しい。配信が終わった途端、僕はそう思う。
もうにじさんじにはほとんど味方はいないから、僕はこの配信に少し依存してしまっている自覚がある。
そのとき目に入ったのは、カッターナイフ。
僕は迷っていた。僕は「優等生」。だからリスカなんていうことはしてはいけない。でも、もう他にこの空白を埋める方法がないんだ。
僕は刃を数センチほど出して、手首にあてた。
シュッと手首を切ると、鮮血がポタポタとしたたる。
そして、なんか心のおもりが少し取れた気がした。
ザシュ、ザシュ、ザシュ。
ポタ、パタリ・・・。
僕は左手首に包帯をテキトーに巻いた。長袖だし、元々手にテーピングをしているから、まぁバレることはないだろう。
ダメだ、意識が・・・。日記書いてない・・・。
パタリ(ベッドに倒れる音)




























編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!