ベンチに座って、体感数分が経った。
座ってすぐだったかもしれないし、
ショウさんが言葉をまとめている時間は
本当に数分が経過していたかもしれない。
とりあえず、膝を抱えた手に視線を送るしかない私は
隣で触手をうねらす彼の声を待つしかなくて
そっと手の甲に触れてきた黒の手袋は
思っているよりも温かかった。
降ってきたその声に、思わず顔が上がった。
見れば、少し申し訳なさそうに笑う姿がいて
どうしてショウさんがそんな顔をするんだろう…って
未だにうるさい鼓動にやられながら、そう思った。
頭の中で何かをまとめるよりも早く
ショウさんに頭を下げられてしまった。
どうして私じゃなくて貴方が謝ってしまうの。
そう言いたいのに、うまく言葉が出てこなくて
目の前の彼は頭を上げてくれない。
「知っていたのに、それを伝えなかったことも」
知ってしまった俺に傷付かれたくなくて
タイミングが合わないからって、逃げてた。
ショウさんはそう言って、軽く私の手を握る。
その弱い力加減は、声色は、
酷く心細そうで、申し訳ないのが伝わってくるから。
ショウさんの手を握り返したいのに、
浅くなった息が身体を動かしてくれない。
ぐらぐらと揺れる視界に溜まっていくそれを
堪えることが出来なかった。
手の甲にぽと、と落ちる温度に
彼が頭を持ち上げてしまって、
今更、どこに逃げることも
顔を隠すことも出来ないぐらい、手遅れで
繊細なものを扱うみたいに頬に触れてくる手は
ぼろぼろの私を優しく包み込んで、
深く息を吸えない私に
とても緩く微笑んだ表情を見せてくれる。
両手に挟まれたぐずぐずの私を
これでもってぐらいに優しい声音で諭される。
コツンとおでこを触れさすショウさんは
肩を揺らす私に目を閉じて語り掛けてくれて、
酷く煩い私の心臓が、ずっとずっと暖かい。
許されないと思っていたのに。
距離を置かれて当然だって、覚悟していたのに。
どこまでも優しい彼に
私はこれから何を返すことが出来るんだろう。
心を絆してくれるショウさんの
そんな想いやりの言葉に崩されてしまって
陽が降りて、空が暖かい色に染まるまで
彼の手に包まれながら泣きじゃくってしまった。
millさん スタンプ有難うございます!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。