第114話

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2026/05/04 10:33 更新

























あなた
……



















 ベンチに座って、体感数分が経った。


 座ってすぐだったかもしれないし、

 ショウさんが言葉をまとめている時間は
 本当に数分が経過していたかもしれない。






 とりあえず、膝を抱えた手に視線を送るしかない私は

 隣で触手をうねらす彼の声を待つしかなくて


















hsrb
………まず、一通りの説明をする前に



















 そっと手の甲に触れてきた黒の手袋は
 思っているよりも温かかった。

















hsrb
俺…昔の貴方の話を、聞いてたんです
あなた
……私の話?















 降ってきたその声に、思わず顔が上がった。



 見れば、少し申し訳なさそうに笑う姿がいて

 どうしてショウさんがそんな顔をするんだろう…って
 未だにうるさい鼓動にやられながら、そう思った。











hsrb
怪物に襲われてから能力者になったって
hsrb
ここで特訓しに来たとき
偶然長尾さんに教えてもらったんです
あなた
景が…

































hsrb
勝手に知ってしまって、ごめんなさい
























 頭の中で何かをまとめるよりも早く
 ショウさんに頭を下げられてしまった。










あなた
っえ、なんで、ショウさんが













 どうして私じゃなくて貴方が謝ってしまうの。



 そう言いたいのに、うまく言葉が出てこなくて

 目の前の彼は頭を上げてくれない。












 
hsrb
誰にも言う予定じゃなかったんですよね
hsrb
俺はその想いを蔑ろにしてしまったから
まず謝らなきゃって、ずっと思ってた











 「知っていたのに、それを伝えなかったことも」


 知ってしまった俺に傷付かれたくなくて
 タイミングが合わないからって、逃げてた。






 ショウさんはそう言って、軽く私の手を握る。


 その弱い力加減は、声色は、

 酷く心細そうで、申し訳ないのが伝わってくるから。








 ショウさんの手を握り返したいのに、
 浅くなった息が身体を動かしてくれない。





 ぐらぐらと揺れる視界に溜まっていくそれを
 堪えることが出来なかった。
 

 

























hsrb
……?




















 手の甲にぽと、と落ちる温度に
 彼が頭を持ち上げてしまって、
















 今更、どこに逃げることも

 顔を隠すことも出来ないぐらい、手遅れで





















 




hsrb
………っふは、








































hsrb
俺、あなたさんが泣いてるの初めて見たよ





























 繊細なものを扱うみたいに頬に触れてくる手は
 ぼろぼろの私を優しく包み込んで、


 深く息を吸えない私に
 とても緩く微笑んだ表情を見せてくれる。

















 






あなた
…ショウさんは、っなにも悪くないんです

あなた
私の話なんて、なんでもないことです
貴方に、してしまったことの方が…っ

hsrb
いいんです













 両手に挟まれたぐずぐずの私を
 これでもってぐらいに優しい声音で諭される。

 
 コツンとおでこを触れさすショウさんは
 肩を揺らす私に目を閉じて語り掛けてくれて、













hsrb
嫌なことなんて一つもされてないから
hsrb
だから泣かないで、おねがい










































hsrb
俺、大好きな人に泣いてほしくないよ
























 酷く煩い私の心臓が、ずっとずっと暖かい。


 許されないと思っていたのに。

 距離を置かれて当然だって、覚悟していたのに。










 どこまでも優しい彼に
 私はこれから何を返すことが出来るんだろう。








 心を絆してくれるショウさんの
 そんな想いやりの言葉に崩されてしまって

 陽が降りて、空が暖かい色に染まるまで
 彼の手に包まれながら泣きじゃくってしまった。










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