第41話

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2023/11/04 15:00
神格化
神格化
宿儺、聞きたいことがあるのです
貴方は何故 あなたに惹かれたのでしょう
宿儺
宿儺
下問かもんだな、あなたの持つ因果に感興かんきょうそそられたからだ
神格化
神格化
それは1番初めに聞きました、しかし 今となっては未来 過去 全てのあなたの記憶と能力が私に譲られています
神格化
神格化
宿儺程の人物が気付いてないとは言わせませんよ、もう彼女あなたには、因果と言う因果は殆ど残っていません

其れでも何故、貴方は彼女を守ろうとするのかが気になるのです
宿儺
宿儺
ハァ…、縛りは未だ履行している
其れ以上も其れ以下もないだろうが
あなた
やめて…、そうやって…私をっ…貴方の残り滓みたいに…言わないでよ…っ!!
宿儺
宿儺
嗚呼…可哀想になァ、あなた…お前はこんなに必死に生きているだけだと言うのに


ぶるぶると身体を震わせながら 涙を流すあなたに、宿儺は正面から抱き留めると頭を撫でた後 彼女の耳元で囁いた


宿儺
宿儺
残りの命を削り、錫杖経しゃくじょうきょうを創れるな?
神格化
神格化
ーーーーーーーー!!
あなた
出来、ます…出来ます…っ!!
神格化
神格化
あなたいけない…っ!!そこで生命を使い果たしたら、貴方の魂は永遠に報われない…!!
あなた
黙ってて…っ、わたしには…わたしには…宿儺さましか居ないんだから…っ!!
神格化
神格化
やめて、救えなくなるーーーーー…!!


あなたは持っていた呪具を捨て、自らが持ち得る呪力と肉体の情報を胸の辺りに集中させ始める


彼女の胸元は黒い閃光が鈍く光はじめ、その光景を宿儺は満足そうに眺めていた


呪具が具現化していく その刹那、彼があなたの前にゆっくりと近付いていった


五条 悟
五条 悟
充分、頑張ったろ



五条悟が、あなたの目の前にしゃがみこみ 彼女の絶望で満たされた瞳を覗き込んだ


その瞳は死ぬ事への恐怖でいっぱいになり、祈る為の掌は只々 震えていた


あなた
貴方は…私の記憶に、ない…知らない…っ!!私には虐待された事と治験体にされた事しか…ないのに…
あなた
知らない、のに…なんで…なんで… こんなに…貴方と話せるのが…嬉しいの…?
五条 悟
五条 悟
…僕も、あなたの事 知らないんだ
知らない事が沢山あるんだ、だから
五条 悟
五条 悟
皆で、もう一度 記憶を紡ごう


あなたの震える手を、五条悟は優しく握ると…全宇宙で出会った彼女彼らの記憶が全て脳にダウンロードされた
1番最初の記憶…ーーーーーーーーそれは 五条悟が、宿儺に負けて胴体を真っ二つに切られたその瞬間から あなたの時間遡行が始まった


あなた【 嘘、嘘…!!やだ、悟…悟…っ!! 】
あなた【 駄目、死んじゃ…だめ…!!お願い、お願い…私の能力で…やり直しを…悟の運命を変えるまで…やり直しをさせて…っ!! 】
あなた【 何度でも、諦めない…っ!!必ず、必ず悟が生存出来る未来を作るの…!! 】
たった1人で何度も失敗しては 折れそうな気持ちを必死で建て直し、五条悟を救おうとするあなたの姿が…その記憶が皆へ流れ込んで来る


五条 悟
五条 悟
辛い思いばかりさせたね
あなた
ーーーーーー〜…っ、さ、とる…
五条 悟
五条 悟
全て、理解したよ
あなた
私、わたし…忘れてて…ごめんなさい…
五条 悟
五条 悟
はは、今も昔も…泣き虫だな
あなた
うっ、う ーーーーー〜…っ ひぐっ…
五条 悟
五条 悟
僕の為に頑張ってくれて、ありがとう
だから次は 僕が頑張る番だね




呪具の精製を途中でやめたあなたの事を五条悟は強く抱き締め、その後ろに控えている宿儺に鋭い視線をぶつける



五条 悟
五条 悟
僕の仲間に散々 非道ひでェ事してきた事、後悔させてやる 宿儺





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