高3の秋 2年近く付き合ってた年上の彼女がいた
電車で3時間くらいの遠距離だったけど、週末は毎週欠かさず会いに行き
僕の志望校は彼女の職場に近い専門学校だった
遠距離がもう嫌な彼女のためにも。
受験生で大変な中でも僕の生きがいは彼女で、彼女もそうだったと思う
勉強に追われてる辛い日常を忘れられるほど、彼女と過ごす時間は特別で僕の全てだった
木の枯葉も全て落ちきって、茶色に染まってた道もいつの間にか雪で覆われ秋の終わりを感じていた時
僕は電話で彼女に別れを告げられた
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あまりにも急だった
別れを告げられる前の週にも会ったのに
その2日後
僕は教科書が入ったバッグを持って電車に乗った
いつも行き帰りでやっていた勉強も彼女のことで頭がいっぱいで集中できない
彼女に何回も電話をかけながら彼女の家まで走っていく
インターホンを押しても返事がない
彼女の家の前には僕が家に忘れていた物や私物が沢山入っていたダンボールだけが置いてあった
近くで夜遅くまでお喋りしてた公園にもいない
よく行ってた行きつけのお店にも彼女の姿は無かった
仕方なく僕は彼女の家に戻って、自分の気持ちを表して書いた手紙と合鍵を郵便ポストに入れてダンボールを持ちその日のうちに家に帰ることにした
帰り道は雪が降っていて、大きな段ボールを抱えていたせいで足元が見えず何回も滑り転け、涙と鼻水を耐えながら駅までトボトボ歩いていった
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そして僕は志望校を変えた
"遠距離が辛い"と言っていた彼女のためにも選んだ彼女の職場に近い専門学校ではなく、
彼女と付き合い始める前から目指していた大学に。
周りとの遅れを取り戻そうとがむしゃらに必死に勉強した
冬の終わりに無事に僕は合格通知を受け取った
無事第1志望だった大学に受かったのだ
そしてその日の夜 携帯から懐かしい着信音が鳴った
"大好きな人"
秋の終わりに別れた僕がずっとずっと待ってた人だった
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電話の向こうで"やった!"はしゃいでる声が聞こえた
久しぶりに聞いた声 何ヶ月も聞きたかった声
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正直すっっごく嬉しかった
ずっと会いたくて会いたくてそれでも我慢しなきゃならなくて、辛い日々を送っていた
この時もまだ彼女の事が好きだった
でも、
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ー
迷いに迷った結果僕が出した答えはこれだった
今思うと僕は、また急に振られるのが怖かったんだと思う
嫌われたくなかったんだと思う
嫌われてない今の時点で離れようと考えてしまった
ー
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泣き声を我慢しながら精一杯頑張って話してるのが伝わった
僕も泣きそうだった
振った側のくせに。自分の思いに正直になれなかったくせに。自分に腹が立った
その日の夜僕は、今までに無いほど泣いた
ー
僕は大学を卒業して就職してからも彼女を想っていた
ずっと好きだった 忘れることなんて無理だった
でも、月日がすぎる度に怖くて連絡する勇気は無かった
そしてある日彼女から連絡が来た
"久しぶり ちょっと会えないかな"
運命だと思った 向こうもずっと僕と同じ気持ちだったんだ
心からそう思った
僕たちが別れた秋の終わりを感じた時期に、僕たちは再会した
久しぶりに見た彼女は相変わらず美しかった
昔短かった前髪も伸びて、大人っぽくなっていて僕はまた恋に落ちてしまった
昔と変わらず僕に微笑んでくれた
その微笑みに僕は決断した
多分、これが会える最後のチャンス
今までずっと隠してた気持ちを伝えよう そう誓った
"よりを戻そう"
そう言おうとした瞬間
そう伝えられた
でもそういうヌナの瞳はどこか悲しそうで寂しそうで
彼女の左薬指にはキラキラ輝いてる指輪がはまっていた
僕には嘘の感情を盛ってお祝いすることしか出来なかった
あーーどこで間違えてしまったんだろう僕は
あの時違う判断をしとけばこうはならなかったのだろうか
そして秋と同じように僕の最初で最後の恋は終わりを迎えた
Fin














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。