ケイside
今日は、あなたの誕生日!
の、前々日。
あなたったら、当日はイベントで忙しいから今日じゃないと無理なんだって、
大変だよね、アイドル。
あなたが教えてくれたカフェ
細い通りの奥の、さらに曲がったところにある、穴場
これを知ってるのが世界で僕とあなただけの2人だったらいいな〜、
メンバーさん、知ってるのかな?
知らないといいなー
こうやって、どんどん大きくなっていく自分の気持ち
本当だよ、って真顔で言ったら君はどんな顔をする?
……逃げちゃうよね
知ってるから、言えないよね
あなたがチョコかレモンで悩んでるの、本当に分かってたよ
僕、常にあなたを見てるよ、
どんな物が好きなのか、嫌いなのか、
当たり前じゃない?
……好きなんだもん
でも、だからこそ、知ってるんだ
諦めるべきだって
でもこれは予想外だった
あなたが、前に進んでいった
俺は、内緒で、置いてかれた
これは僕の役目だったんだ
僕だけが、頑張って、頑張って、手に入れた、役目
僕だけじゃなくなったのかな、
良かったよ、本当に、分かってる
あなたは僕と過ごしているわけじゃないから、僕は多分あなたを救いきれない。
あぁ、でも、やっぱり悲しいなぁ…
"頑張ろう"って、
"一緒に頑張ろう"って言いたい
でも、もう僕とあなた、それだけじゃなくなっちゃった
あなたにとっては、それはすごくいいことだから、
本当に心から、嬉しいよ
でも、やっぱり心のどこかで黒い僕がいるんだ。
ごめんね、あなた
あなたをイメージして買ったネックレス…
可愛いなぁ…大好きだよ、あなた
だからさ、
最後に少しだけ、
僕の気持ちに付き合って欲しいんだ
あなたを
諦めるために
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!