第7話

先輩
137
2023/01/22 08:22
ステラside
初めてリズ先輩に会った日から時は過ぎ、ついに、その日はやってきた。
この日の為に、俺はOnlyの最強ブラスター使い(自称)のロロ先輩に鍛えてもらい腕を磨いていた。
彼は度々俺を見下してきたが、俺は見下されると悔しさから逆に燃えるタイプで、相性は抜群だった。
そして、勝負ギアに身を包み、あの日の部屋に足を踏み入れる。
リズ
リズ
お、来たな。早速始めようじゃないか。
Only入団試験をな。
あの日と同じギアを身につけたリズ先輩。
俺は…彼女に勝てるのだろうか…。
ロロ先輩はいつも俺に言っていた。
ロロ
ロロ
あいつは特攻型だから、気ぃ抜いてるとお前みたいな奴はすぐやられるぞ。射程はストリンガーのお前の方が長い。その長射程を活かして戦え。
ブラスターとトライストリンガー。どちらも爆発を伴うブキで、ロロ先輩の得意分野だった。俺は先輩の言葉を思い出しながら、ブキを構える。
ロロ
ロロ
お前がOnlyに入ったら、この俺が鍛えてやるよ。だからまずは、あの特攻隊長をやってやれ!
絶対…入団してみせる…!
ステラ
ステラ
やってやります。リズ先輩。
リズ
リズ
いいねぇ。あたしも頑張るとするか。
そして、試合は始まった。
ロロ先輩の言った通り、リズ先輩は初っ端からガンガン攻撃を仕掛けてくる。長射程を活かせと言われたが、短射程シューターに距離を詰められては思うように動けない。
さらに、ただの短射程使いならまだしも、彼女は鍛錬でアル先輩と毎日殴り合う武闘派ガールだ。当然、立ち回りでも劣ってしまう。
リズ
リズ
ほら、さっきの威勢はどうした?ボケっとしてるとクイボ直撃当てるよ!
一通り対策はして、1ヶ月みっちり鍛えられてきた。なのに…こうも上手くいかないなんて!
ステラ
ステラ
クソッ…!弾が当たらねぇ…!
そして、クイボの直撃とメインのコンボを決められ、あっけなく試合は終わってしまった。勿論結果はリズ先輩の圧勝。
リズ
リズ
ふぅ…。あたしの勝ちだな。悪いが、その調子だと入団は厳しいな。メンバー最弱のあたしにも勝てないんじゃ、上位勢のオモチャになっちまうぜ。
だよなぁ…って、リズ先輩がメンバー最弱?!?!
そんな馬鹿な…信じられない…こんなに実力がある人が最弱だなんて…恐るべし、Onlyメンバー。
ステラ
ステラ
今日はありがとうございました。いつか、絶対に先輩に勝って、Onlyに入団してみせます!
俺がそう言うと、先輩は笑顔で言った。
リズ
リズ
おう、いつでも待ってるぜ。
そうして、俺が帰ろうとドアに手をかけた瞬間…
ドアはものすごい勢いで逆の方向に動いた。
リオ
リオ
リズ!ビッグラン警報だって!シャケが来てる!
リズ
リズ
なんだって?!リオ!全員を今すぐ集めてくれ!
突然飛び込んできた小柄なガール。そして、彼女が言っていた「ビッグラン」…。
「ビッグラン」とは、数ヶ月に一度、凶暴なシャケが街に押し寄せてくることを言う。そして、それを食い止めるため、多くのイカタコがイクラ集めのクマサン商会に命懸けのアルバイトに行くのだ。
リオ
リオ
全員集まったよ!
リズ
リズ
ナイス。いいかよく聞け。先程ビッグラン警報が発令された。我々もすぐに出動する。今ここにいる奴の中で、前線で戦える奴はすぐにクマサン商会へ向かえ!
一同
了解!!!
俺も戦える…。ここで…みんなの役に立ちたい!
アル
アル
みんな、行くぞ!!
ロロ
ロロ
オラァ!クマサン商会まで競走だ!!
リオ
リオ
ソルトちゃんは無理しなくていいよ!あれなら、怪我したりでここに戻ってきた人の手当てに回って!
ソルト
ソルト
は、はい!わかりました!皆様、どうかご無事で…!
リズ
リズ
手ぶらでいい。全員生きて帰るぞ!
俺は先輩達の背を追い、走り出した。

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