ステラside
初めてリズ先輩に会った日から時は過ぎ、ついに、その日はやってきた。
この日の為に、俺はOnlyの最強ブラスター使い(自称)のロロ先輩に鍛えてもらい腕を磨いていた。
彼は度々俺を見下してきたが、俺は見下されると悔しさから逆に燃えるタイプで、相性は抜群だった。
そして、勝負ギアに身を包み、あの日の部屋に足を踏み入れる。
あの日と同じギアを身につけたリズ先輩。
俺は…彼女に勝てるのだろうか…。
ロロ先輩はいつも俺に言っていた。
ブラスターとトライストリンガー。どちらも爆発を伴うブキで、ロロ先輩の得意分野だった。俺は先輩の言葉を思い出しながら、ブキを構える。
絶対…入団してみせる…!
そして、試合は始まった。
ロロ先輩の言った通り、リズ先輩は初っ端からガンガン攻撃を仕掛けてくる。長射程を活かせと言われたが、短射程シューターに距離を詰められては思うように動けない。
さらに、ただの短射程使いならまだしも、彼女は鍛錬でアル先輩と毎日殴り合う武闘派ガールだ。当然、立ち回りでも劣ってしまう。
一通り対策はして、1ヶ月みっちり鍛えられてきた。なのに…こうも上手くいかないなんて!
そして、クイボの直撃とメインのコンボを決められ、あっけなく試合は終わってしまった。勿論結果はリズ先輩の圧勝。
だよなぁ…って、リズ先輩がメンバー最弱?!?!
そんな馬鹿な…信じられない…こんなに実力がある人が最弱だなんて…恐るべし、Onlyメンバー。
俺がそう言うと、先輩は笑顔で言った。
そうして、俺が帰ろうとドアに手をかけた瞬間…
ドアはものすごい勢いで逆の方向に動いた。
突然飛び込んできた小柄なガール。そして、彼女が言っていた「ビッグラン」…。
「ビッグラン」とは、数ヶ月に一度、凶暴なシャケが街に押し寄せてくることを言う。そして、それを食い止めるため、多くのイカタコがイクラ集めのクマサン商会に命懸けのアルバイトに行くのだ。
俺も戦える…。ここで…みんなの役に立ちたい!
俺は先輩達の背を追い、走り出した。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。